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2020.10.22
2023.6.26
目次
近年、日本国内における障害者人口は増加しています。
なぜ現在、障害者数が増加しているのか。障害者数の増加に伴い、障害福祉サービスは十分に提供できているのか。
この記事では、障害福祉の現状について詳しく解説していきます。
障害者人口の増加は一時的なものではなく、年々増加傾向にあります。
内閣府による調査では、2006年から2018年の12年間で障害者数が655.9万人から936.6万人と、約300万人近く増加しており、日本人の全人口から比較してみると、国民の約8%が障害を抱えているということが言えます。
障害には、大きく分けて身体障害・知的障害・精神障害の3つが存在します。
障害者人口の内訳として多いのは身体障害、精神障害、知的障害の順ですが、いずれも障害者数は増加傾向にあることが示されています。
参照元:内閣府「障害者白書」.pdf
では、なぜこのように日本の障害者人口が年々増加しているのでしょうか。
その理由について、順に説明していきます。
少子高齢化により、日本の全人口における高齢者の割合は上がっています。
総務省統計局のデータによると、2019年9月15日時点で65歳以上の高齢者人口は3588万人で過去最多、高齢者が総人口に占める割合は28.4%で過去最高の数値が示されました。
参照元:総務省統計局
さらに、高齢者人口の割合は今後もさらに増加していくと考えられています。
高齢になると必然的に身体機能は低下していきますし、それによって身体の不自由を訴える方は多くなります。また、重度の認知症をきたすと、精神障害が認められるケースもあります。
高齢化に比例して高齢者における障害者数の増加がみられることが、障害者人口の増加の理由の一つとして挙げられます。
障害の中でも特に発達障害をもつ人が増加している理由に関しては、現代社会特有の環境が影響していると考えられています。
発達障害は、遺伝によるものが大きな原因と考えられることが多かったですが、育った環境や現代社会ならではの環境要因が発達障害を引き起こすとも言われるようになりました。
確かに、もともと遺伝性の強い場合であれば、環境状態に関係なく発達障害の診断がつくこともあります。一方で遺伝性に関して比較的弱い素質をもつ人が発達障害を起こす原因には、育った環境が大きく関与するとされています。
まだ研究段階で確実な根拠は示されていないものの、発達障害を引き起こしうる環境要因としてはいくつかの要因が挙げられます。
情報過多な現代において、人は自ら情報収集しようとしなくてもテレビやインターネットでどんどん情報入手することができます。
家族や友人と直接会話をする機会が減ったり、デジタル化によって文字を直接書く機会も薄れるといったことから、特に幼児期で言語発達に支障をきたすケースが多く見受けられます。
この情報過多な環境下によって、長時間テレビやスマートフォンを見て夜更かしをする人も増えています。
生活リズムが乱れてしまうと睡眠の質の低下にもつながります。十分な睡眠がとれないと、脳が休息をとれずに脳内伝達物質の乱れを引き起こし、発達障害だけでなく抑鬱状態などの精神障害をきたす恐れがあります。
また、経済の成長によって国民の食生活や衛生状態、合成化学物質製品の急増など、さまざまな変化が起こりました。その変化に伴い、農薬の摂取や汚染物質の暴露など、環境化学物質にさらされる機会が増加し、結果として体内の健康状態に影響が出ているという報告が上がっています。
それらの化学物質は脳神経発達に悪影響を与える場合があり、発達障害を引き起こす危険性があるとされています。
参照元:乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴に関する提言書.pdf
参照元:自閉症・ADHDなど発達障害の原因としての環境化学物質.pdf
参照元:環境化学物質汚染による脳の発達障害.pdf
このような環境要因が、以前よりも障害者人口の割合が増加している原因の一つであると考えられます。
もっとも注目すべきなのが、「障害」に対して社会全体の認識が高まったという点です。障害の中でも特に「発達障害」に関しては、今まで世間的に認識されづらいものでした。
今まで過ごしてきた中で、以下のような人と接する機会はありませんでしたか?
心当たりのある方もいれば、自分自身に当てはまるという方もいるかもしれません。
今まではこのような特徴をもつ人のことを、
「変わっている人」
「空気が読めない人」
「気が多い人」
などとして接してしまう環境がありました。
しかし本当は、このような特徴のある人の中には「発達障害」が隠れているケースがあるという事実が、ここ数年でようやく日本社会において浸透してくるようになりました。
こういった社会全体の動きが、障がいに対するハードルを下げ、障害をより身近なものとしてとらえるきっかけにつながったのです。
そして、障害に対する理解が増えると同時に、医療機関で障害に関する相談をする人が増え、結果として障害者数の増加という形で現れたと推測することができます。
3つの理由は以上の通りです。
単に「障がい者数が増加している」と聞くと、どうしてもマイナスな要因を思い浮かべてしまいかもしれません。
しかし、障がい者数が増加しているということは、それと同時に障がいに対して正しく向き合っている人が増えているということに繋がっているのだと捉えることもできます。
先述したとおり、さまざまな要因のもと日本の障害者人口は増加しています。
障害者人口が増加するともに、障害に対する正しい認知も増えていることから、障害福祉施設を利用するケースも近年増えてきました。
では、障害者数の増加に伴い、適切な福祉サービスを十分に提供できているのでしょうか。
厚生労働省の調べによると、障害福祉サービスの利用者は平成26年から毎年増加傾向にあります。1年単位で見ても、平成29年から平成30年の1年間での伸び率は6.4%と、障害者数は増加しています。障害者数が増加し続けていることから、必然的に障害福祉施設の需要は高くなっているのです。
参照元:障害福祉分野の最近の動向.pdf(厚生労働省)
障害について正しい認知がされていないときは、障害福祉施設に家族を預けることに対して後ろめたさや抵抗を感じる人も多かったようです。
しかし正しい理解が広まってきた今、まさに障害福祉施設のニーズは高く、より質の高いサービスを提供していくことが重要視されています。
さまざまな要因が重なり、日本では障害者人口が毎年増加し続けている現状があります。
誰もが生活しやすい環境づくりを実現することは、国民一人ひとりが意識していく必要がある課題です。障がいに対する認識が広まった今だからこそ、誰しもが生きやすいバリアフリーな社会を実現するために何ができるのか、考える機会にしてみてください。
例えば、障害者が増加している現状だからこそ、障害福祉施設やサービスを拡充することも社会貢献の一つであると考えます。
障害福祉に関しては、各種障害福祉施設に対する国からの支援が毎年増額している分野であり、このことから国として注力していきたいと考えている課題点だということが伺えます。
障害福祉施設の運営や質の高いサービスの追求は、社会貢献として大きな力をもたらします。
福祉分野への参入で、自分の暮らす地域からまずはバリアフリーを目指し、社会に活力をもたらしていきましょう。
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