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2022.10.31
2023.6.26
放課後等デイサービスの収益や将来性について
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目次
放課後等デイサービスとは?
放課後等デイサービスは、6歳から18歳までの障害や発達に特性がある児童が、放課後や休校日に通うための施設です。夏休みや冬休みなどの長期休暇中も利用できます。個別の発達支援や集団生活を通して、預かった児童の生活能力を向上させ自立を促すことが目的です。
従来は、未就学児と就学児がともに通所できるサービスでしたが、2012年の児童福祉法改正によって、未就学児のための「児童発達支援」と就学児のための「放課後等デイサービス」に分かれ、「放課後等デイサービス」は新たな支援として創設されました。
児童発達支援管理責任者が作成する個別支援計画に基づいて、児童の日常生活における動作の習得や集団生活への適応に向けた支援を行います。また、夏休み・冬休みなどの長期休暇中にも利用できるため、働きに出られない保護者の時間も確保する障害福祉サービスの1つです。
障害のある子どもは増加傾向にある
日本の人口動態は減少傾向にあり、少子化が進む一方、障害者数は増加傾向にあります。
2020年の厚生労働省の発表によると、障害者は大人と子どもを合わせて960万人以上います。
特に、知的障害のある児童の数は、2011年時点の約15万2,000人から2016年には21万4,000人を超えるまでに増加しています。2012年の文部科学省の調査では、通常クラスに在籍する発達障害と考えられる生徒児童や、特別支援教育を受けている支援クラス、支援学級などの児童を合わせると全体の約1割とされています。
このような傾向を踏まえて、障害児を支援する施設を増やすために、2012年4月の児童福祉法の改正で民間企業に広く門戸が開かれました。児童福祉法の改正までは、障害の種類別に細かく施設が分類されていました。しかし、改正を機に、年齢や目的別に児童発達支援 ・医療型児童発達支援 ・放課後等デイサービス ・保育所等訪問支援へと再編成され、今では居住地域で乳幼児の頃から高校卒業まで一貫したサービスを受けられます。
2014年に5,267か所で設立されていた放課後等デイサービスの事業所は、2022年時点では1万5,519か所まで拡大しています。放課後等デイサービスの利用者数も同様に、2015年の11万2,000人から2020年の24万3,000人と、5年で2倍以上になりました。
障害のある児童の増加と児童福祉法改正に伴う規制緩和により、放課後等デイサービスの需要が高まり、事業所も増加し続けています。しかし、充足率が100%を超えた一部の地域では、総量規制が実施されています。ただし、未だ足りていない地域も多く、実際に放課後デイサービスを求める保護者様も存在するため、地域によって は需要はまだまだ高いといえるでしょう。
放課後等デイサービス開業のメリット
放課後等デイサービスを開業すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。以下4点について解説します。
- 初期投資が少ない
- オーナーが福祉の有資格者である必要はない
- 売上の回収が困難になる心配は少ない
- 社会に貢献できる
1.初期投資が少ない
放課後等デイサービスは、他の事業と比較すると初期費用を抑えて始められます。店舗を構えて運営する飲食店やコインランドリーなどの場合、設備投資や改装費など多額の出資が必要なことが多く、1,000万円程度の初期費用が必要になることもあります。
放課後等デイサービスの場合は、遊具や家具を揃えるなど、比較的に出資額を抑えて開業できます。開業資金は300〜500万円程度が相場です。また、開業においても人材確保等支援助成金や特定求職者雇用開発助成金、被災者雇用開発助成金、補助金、奨励金など、一定の要件を満たすことで受けられる給付金に加えて、金融機関による融資も受けられます。
2.オーナーが福祉の有資格者である必要はない
施設のオーナーが有資格者である必要はありません。オーナーと別に児童発達支援管理責任者や指導員の配置ができていれば、放課後等デイサービスを開業できます。障害児に対する直接的なサポートは福祉のプロである直接支援業務従事者に任せて、オーナーは障害児が自立ができる仕組みやスタッフが働きやすい環境作りを考えるなど、施設経営に専念すると良いでしょう。
3.売上の回収が困難になる心配は少ない
放課後等デイサービスの利用料は、ほとんどが国や自治体からの公金で成り立っているため、売上の回収が困難になる可能性は低いと考えられます。市区町村で発行した受給者証があれば利用料の9割は自治体負担で、残りの1割は自己負担になるのが一般的です。
利用料金は自治体によって定められているため地域によって多少異なります。また、利用者の月額負担は前年度の年間所得に応じて上限が定められています。前年度の年間所得が890万円以下の場合4,600円、それ以上であれば37,200円となります。
4.社会に貢献できる
放課後等デイサービスの事業を通して社会に貢献できます。障害児の成長や自立支援に加えて保護者支援ができるためです。画一的な指導ではなく、障害児個々の発達段階や心の状態に応じた運動や遊び、学習指導などで心身の成長を促します。
近年、言語聴覚士の個別指導、VRでのトレーニング、プログランミング、ゲームなど、タブレットや最新技術を導入し幅広いサービスを提供している施設も見られるようになりました。
また、現状では、障害児の数は増加しているにもかかわらず、受け入れ施設が足りておらず、働きに出られない保護者も少なくありません。そのため、放課後等デイサービスを開業することで障害児の支援だけなく、育児で時間のない保護者の働く時間を確保できます。
放課後等デイサービスの実際の収益は?
放課後等デイサービスのビジネスモデルは次の図をご覧ください。
契約者数20人で売上は月280〜320万円ほど、月利は100万円です。厚生労働省の調査によると、事業活動における令和2年の収支差は増加しており、放課後等デイサービス全体としては黒字になっています。
参考:https://www.mhlw.go.jp/houdou/2020/12/h1215-1.html
その内訳を確認したところ、収入の95%近くが「自立支援費等・措置費・運営費収入」つまり、大部分が国からの給付費であることがわかります。前述したように、給付費は国の基準を満たさなければ貰えません。そのため、放課後等デイサービス事業で安定して収益を上げるには、国の基準を満たすことが必須です。
また、1人当たり月2回〜3回程度の利用が目安になるため、契約者数を確保することが非常に重要になります。1人当たり月8回程度利用する場合、契約者数は20人程度で収支差額がゼロになると仮定できます。契約者数を30人程度確保できれば、月80万円ほどの収益が上げられます。
一方、支出の大部分を占めるのは人件費です。児童発達支援管理責任者が1名、指導員が2名、さらに加配職員2名程度だと仮定すると、人件費率は50%程度が目安になります。加えて、賃料や光熱費などの運営費がかかります。これらを踏まえて利益率30%程度を目標にしましょう。
放課後等デイサービスの将来性
放課後等デイサービスは安定した経営が期待でき参入しやすい分野です。ただし、利用者にとっての負担額は変わらないため、単に施設を開設するだけでは利用してもらえない可能性があります。
サービス内容やコンセプト、療育プログラムなどで他との差別化を図ることが重要です。具体的には、コミュニケーション能力や集中力、言語能力、学習能力などの各分野において専門性の高いプログラムを準備する必要があります。
近年の法改正では、専門職の配置や支援活動の質を向上させるため加算を手厚くする傾向があります。所定のカリキュラムを修めたプロを雇用することが、事業所を安定して経営するために欠かせない要素となっています。
これらからは、ただ預かるだけの施設が淘汰されていく可能性があります。専門職を配置し、独自のプログラムによって他と差別化すると共にサービスの質を高めましょう。
成功への近道は、福祉ビジネスのプロから学ぶこと
放課後等デイサービスは、障害や発達に特性がある児童を支援する社会的意義の高い施設です。開業する場合は、3年ごとに行われる障害福祉サービス等報酬改定などに対応していなかければなりません。また、サービスを差別化し療育の質を向上させる努力も必要です。
また、開業の際には開業エリアや人材選び、申請、幹部育成、営業方法などさまざまな知識が必要になります。ミライクス開業は、放課後等デイサービスなどの福祉ビジネスの開業準備から開業後の安定的に経営のための支援を行うコンサルサービスを展開しています。
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執筆者
ミライクス運営事務局