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2023.1.18
2023.1.18
障害者グループホームとは?費用・入居条件・支援内容などを解説
マンションやアパート、戸建て住宅を利用することが多く、社会福祉法人やNPO法人、医療法人などが主体となって設置します。
この記事では、障害者グループホームの種類や対象者、年齢による入居期限の有無、料金、利用の流れなどについて詳しく解説します。
目次
障害者グループホームとはどんなところ?
障害者グループホームは、障害者総合支援法(障害者の日常生活や社会生活を支援するための法律)が定める「障害福祉サービス」の一つです。
正式名称としては「共同生活援助」と呼ばれています。
続けて、詳しく説明しましょう。
障害者グループホームの概要
グループホームでは、世話人や生活支援員などのスタッフが入居者をサポートしてくれるので、障害のある方も自立して日常生活を送れます。
入居者は就労先やデイサービスで日中の活動をし、グループホームに帰宅するとほかの入居メンバーとともに夕食をとり、お風呂に入るなど一般の方と同様のスタイルで暮らします。
障害者グループホームの形態・定員
家の中はあえて家庭的な雰囲気に作られており、建物としては戸建て住宅やマンション、アパートなど一般的な住宅を利用しているケースが多いです。
事業者による違いはありますが、居室は個室で、キッチンや洗面所、風呂は共有するスタイルです。
グループホームの入居定員は原則的に10人以下となっており、1つの住居に平均6名程度が暮らします。
ただし、既存の建物を利用している場合、都道府県が認めれば入居定員を30名以下にまで増やすことも可能です。
そのほか、グループホームの付近で、一人暮らしに近い形で暮らす「サテライト型住居」が設けられている場合もあります。
希望があればグループホームで食事をとったり、他の人と交流を図ったりできるほか、グループホームの生活支援員に相談、援助を求めることもできる暮らし方です。
障害者グループホームの入居制限・ルール
基本的にグループホームには入居期限がありません。
ただし、一部のグループホームには入居制限や更新料が必要な場合があるので確認が必要です。
たとえば、東京都は障害者グループホームに、入居期限を定めない「滞在型」と原則3年間で自立を目指す「通過型」の2類型を設けています。
また、グループホームには、共同生活を営むうえで守るべきさまざまなルールがあります。
たとえば、朝食や夕食の時間は決められていますし、ほかにも洗濯機や風呂を使える時間や門限が決まっているグループホームも多いでしょう。
障害者グループホームのサービス内容
障害者グループホームでは、障害者の方たちが家族から離れて他者と共同生活を送るために必要な身体的、精神的なサポートを受けられます。
- 入浴や排せつ、食事の際のサポート
- 食事作りや掃除などの生活に必要な活動のサポート・見守り
- 勤務先や利用しているデイサービスとの連絡・調整
なお、2022年10月には、障害者総合支援法の改正案が閣議決定され、グループホームの定義も変わろうとしています。
今後は、通常のアパートなどで暮らすことを希望する利用者に対し、グループホームでいわば「自立生活のトレーニング」をする方針が加えられる見込みです。
アパートなどへ移行した後も、生活サポートを継続することが改正案には含まれています。
この改正案は、障害者の方たちの住まいや働き方の幅を広げることが目的です。
障害者グループホームのスタッフ
障害者グループホームには、次のようなスタッフがいます。
簡単に紹介しましょう。
▼障害者グループホームのスタッフ
職種 | 主な役割 | |
---|---|---|
管理者 | 施設運営・管理に関すること全般、スタッフのマネジメント。 | |
サービス管理責任者 | グループホームで提供するサービスやスタッフのまとめ役。 共同生活援助計画の作成・更新など。世話人・生活支援員のいずれかと兼務の場合もあり。 |
|
生活支援員 | 利用者の食事/入浴/排せつなどの日常動作介助。 | |
世話人 | 入居者が行う家事の手伝い、生活におけるサポート全般(食事、入浴、排せつ、金銭・健康・服薬管理、買い物、通院など)対話をベースとした相談対応。 |
施設によっては、これらのスタッフが24時間体制で見守りをしてくれます。
障害者グループホームと施設入所支援との違い
障害者グループホームと施設入所支援の違いとして、以下の点が挙げられます。
▼障害者グループホームと施設入所支援の違い
障害者グループホーム | 施設入所支援 | |
---|---|---|
入居者の障害の度合い | 軽め | 重め |
施設の規模 | 小規模 | 大規模 |
サポート体制 | 主に夜間・休日の支援 | 日中の支援も可能 |
入居者の障害の度合い
グループホームに入る方は障害の程度が比較的軽く、サポートを受ければ自立した生活を送れる方たちです。
障害者支援施設に入所する方のほうが、障害が重いケースが多いでしょう。
グループホームには基本的に看護師などは常駐しておらず、服薬管理以上の医療行為はできません。
障害者支援施設には、看護師がいるケースもあります。
施設の規模
グループホームは少人数による共同生活を送る施設です。
一方、障害者支援施設は利用者が100人を超えるところもあり、比較的規模が大きいといえるでしょう。
サポート体制
グループホームが基本的には夜間や休日の支援を前提にしているのと同様に、施設入所支援も夜間の支援を中心としています。
ただし、障害者支援施設は敷地内に作業所やデイサービスが併設されているケースが多いでしょう。
障害者グループホームのメリット・デメリット
障害者グループホームには以下のメリットとデメリットがあります。
- 自分らしい生活が送れる
- 周囲とコミュニケーションができる
- 適切なサポートを受けつつ、自立心を育める
- 医療ケアは期待できない
- 施設や定員が少ない
- 入居費用負担が大きくなりがち
- 障害の程度や性格によっては入居が難しい
障害者グループホームのメリット
スタッフは入居者が自分らしい生活を送れるようにするため、一人ひとりに合わせた生活目標を設定し、できたところはほめて自己肯定感を高めていきます。
また、一緒にグループホームで暮らす仲間やスタッフ、ときには地域の方たちと交流ができるように、スタッフがサポートします。
障害者の方たちは親の庇護を失うと周囲から孤立してしまいがちですが、グループホームではアットホームなコミュニケーションが大切にされています。
障害者グループホームのデメリット
基本的には自立した生活を送れることが前提の施設のため、日常的な医療ケアの提供はないと考えたほうがよいでしょう。
5~6人が定員の施設が多いため、「すぐに」「近所の」施設への入居は難しいケースも考えられます。
障害の種類によっては望む施設への入居ができない可能性もあるでしょう。
また、障害者グループホームは家賃・食費・光熱費といった実費負担が比較的大きくなりがちな点もデメリットです。
そのほか、親元から離れることの不安が大きすぎたり、ほかの人とのコミュニケーションや共同生活が極端にストレスに感じられる性格であったりする場合、グループホームでの生活になじみにくいかもしれません。
障害者グループホームにはどんな種類があるの?
障害者グループホームには以下の3タイプがあります
- 介護サービス包括型
- 外部サービス利用型
- 日中活動サービス支援型
それぞれのタイプについて解説していきます。
1. 介護サービス包括型
入浴や排せつ、食事の介護をはじめ、日常生活上の援助が必要な障害者を対象としたグループホームで、夜間や休日のサポートをメインとしています。
グループホームには世話人のほか、サービス管理責任者や生活支援員もおり、日常生活のサポートや就労先との連絡・調整、休日の余暇活動のサポートなどを行います。
3タイプあるグループホームのなかで、最も事業所数、利用者が多い形態です。
国民健康保険団体連合会の調べによると、令和2年4月時点の事業所数は7,718ヶ所、利用者数は11万4,554人で、年々増加しています。
2. 外部サービス利用型
基本的には介護サービス包括型と同様に、夜間・休日のサポートを提供しています。
異なる点は、利用者の入浴や排せつなどの介護を外部の居宅介護サービスなどのスタッフが行う点です。
国民健康保険団体連合会の調べによると、令和2年4月時点の事業所数は1,321ヶ所、利用者数は1万5,551人で、年々減少しています。
自立した日常生活を営むうえで相談などの援助を必要とする障害者を対象としており、介護サービス包括型を利用する方よりも、障害の度合いが軽めの方が入居しやすい施設です。
3. 日中活動サービス支援型
重度の障害や高齢により就労やデイサービスなど日中活動サービスの利用ができず、一日を通して介護・サポートが必要な方を対象としたグループホームです。
日中活動サービス支援型は、障害の重度化や利用者の高齢化に対応するために平成30年に新設されました。
在宅で生活する障害者の緊急一時的な宿泊の場として、短期入所を併設しています。
国民健康保険団体連合会の調べによると、令和2年4月時点の事業所数は182ヶ所、利用者数は2,344人です。
障害者グループホームの入居要件は?
グループホームの利用対象者は障害者総合支援法第4条で決められており、下記に該当する障害者が利用できます。
- 身体障害のある方(身体障害者福祉法第4条)
- 知的障害のある18歳以上の方(知的障害者福祉法)
- 精神障害(発達障害を含む)のある18歳以上の方(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条、発達障害者支援法第2条第2項)
- 18歳以上の難病(治療方法が確立していない疾病その他の特殊な疾病)患者のうち障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である方
ただし、身体障害のある方については以下に当てはまる方が対象です。
- 65歳未満の方
- 65歳になる前日までに障害福祉サービスまたはそれに準ずるサービスを利用したことがある方
支援があれば自立した共同生活を送れる人が主な対象で、障害支援区分による制限はありません。
ただし、グループホームによっては対象となる障害や障害支援区分が決められているケースがあるので、事前に確認するとよいでしょう。
実際には以下のような人が障害者グループホームを利用しています。
- 親と同居していたが、親が高齢となり面倒を見てもらえなくなった方
- 同居の親族などが死亡したり、入院したりして同居ができなくなった方
- 病院を退院してきた方
このように、グループホームを利用するきっかけは人それぞれです。
本人や親、兄弟姉妹らが住み慣れた地域で継続して暮らせることを望み、グループホームを希望するケースも多くあります。
障害者グループホームの必要費用は?
障害者グループホームの費用は、おおむね6~8万円ほどに設定されています。
費用項目の内訳は、以下の通りです。
- 障害福祉サービス利用料
- 家賃
- その他生活費(食費、光熱費、水道代など)
続いて、項目ごとに解説します。
障害福祉サービス利用料
障害者グループホームの利用料は、グループホームごとに異なります。
しかし、障害者総合支援法の自立支援給付により、入居者が負担する割合は総額の1割です。
また、月ごとの利用者負担額は前年の世帯収入によって上限額が決定されます。
▼月々の支払上限額
生活保護受給世帯 | 0円 | |
市町村民税非課税世帯 | 0円 ※3人世帯で障害基礎年金1級受給・世帯収入300万円程度以下の場合 |
|
上記以外の世帯 | 37,200円 |
自治体によっては独自の助成金を出しているケースもあり、併用すると大きな割引が得られます。
家賃
グループホームの家賃は施設ごとに異なりますが、生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯の利用者は、国から1万円の家賃助成を受けられます。
さらに、自治体ごとに助成の制度を設けているところもあります。
千葉県館山市の制度を例に、説明しましょう。
<家賃>
家賃……46,000円
<助成金>
国の助成金……10,000円
館山市の助成金……18,000円※
<自己負担額>
46,000円(家賃)-10,000円(国の助成金)-18,000円(館山市の助成金)=18,000円
※(家賃額-国の助成)÷2
家賃46,000円のグループホームを利用する場合、国と館山市からの助成金を得て、自己負担額は18,000円となります。
このように、自治体からの助成を受けられると、利用負担をかなり軽減できる可能性があるので、お住まいの地域の助成金について確認してみるのがおすすめです。
その他生活費
食費や光熱費、水道代などは実費負担となります。
ただし、通所施設(事業)を利用した場合は食費の人件費分が支給され、食費が減額されます。
障害者グループホームの入居までの流れは?
ここまで障害者グループホームについて解説してきましたが、実際に入居を希望する場合の流れはどのようになるのでしょうか。
一般的には以下の流れで手続きを行います。
障害者グループホームを探す
入居を希望する方にすでに相談支援専門員がついているならば、その担当者に「グループホームを利用したい」旨を相談するのが近道です。
希望に合わせていくつかの候補を見つけてくれるでしょう。
興味のあるグループホームに見学を申し入れ、実際の雰囲気を確かめてみてください。
障害福祉サービス利用の申請をする
もし、まだ相談支援専門員が付いていない場合は、まずは市区町村の障害福祉窓口で障害福祉サービス利用の申請をしましょう。
「障害福祉サービスを利用したい」と伝えれば、担当者につないでもらえるはずです。
もし、役所の窓口へ行けない場合は電話をかけてみてください。
その後、書類は郵送でやり取りをするなどで申請を受け付けてくれるケースもあります。
申請をすると障害支援区分認定のため、市町村の職員などが自宅を訪問し、本人や家族、または付添人に聞き取り調査を行います。
その調査結果と医師からの意見書を総合的に判断したうえで、自治体が障害認定区分を決定します。
障害支援区分認定を受けると、グループホームを含む障害福祉サービスを利用できるようになります。
なお、区分認定の決定までには1~2ヶ月かかるので、親の入院など先の予定が決まっている場合は早めに行動しておいてください。
グループホームを見学〜入居
グループホーム探しと障害福祉サービスの利用申請は、同時進行で行われる場合もあるでしょう。
いずれによせ、希望するグループホームのめどが付いたら、以下の流れで進めます。
(1)グループホームに連絡する
まずは相談支援専門員または家族、本人などからグループホームへ見学希望の連絡を入れてください。
(2)入居を検討
見学したら、入居するかどうかを検討。入居希望の場合はグループホームへその旨を伝えましょう。
(3)体験入居(希望者のみ)
希望者は体験入居が可能。施設によりますが、夕方5時ぐらいから一泊して翌朝まで。体験費用は数千円程度です。
(4)入居準備
入居が決定した場合、本入居に向けて準備が始まります。相談員を含めた担当者会議も実施されます。グループホームからの案内に沿って、生活に必要な物も揃えましょう。
(5)契約
(6)本入居
障害者グループホームは今後どうなる?
令和元年11月時点で障害者グループホームの利用者数は入所施設の利用者数を上回り、令和3年2月には約14万人に達しました。
しかし、好調に見える一方で、障害の特性や程度に応じた支援が適切に提供されないなど、質の低下が懸念されています。
職員の支援スキルと利用希望者のニーズや障害の程度、特性が合わないことによって空室が出ているグループホームもあります。
そのような現状から、今後グループホームを安定的に運営するためには、支援の質の向上が不可欠です。
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