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2023.1.14
2023.5.23
就労継続支援B型とは?仕事内容から工賃まで徹底解説
障害の度合いや体調に応じて、柔軟なスタイルで利用できます。
専門のスタッフが在籍し、利用者が働くために必要な知識や能力を高めるために必要な訓練や相談・支援も行なっているのも特徴です。
この記事では、就労継続支援B型事業所の特徴や利用方法・仕事内容・工賃の相場などについてきめ細かく解説します。
就労継続支援B型事業所を選ぶ際のチェックポイントも紹介するので、自分が利用したい事業所を探すときにはぜひ参考にしてみてください。
目次
就労継続支援B型とは何か?
就労継続支援B型とは、一般企業に雇用されて働くのが困難な人に軽作業や生産活動などの就労の機会を提供して、自立した日常生活や社会生活を営めるように支援する障害福祉サービスです。
心身に障害のある人はもちろん、障害者総合支援法で定められた難病にかかっている人や、一般企業で働くのに年齢・体力面で不安がある人なども利用できます。
就業継続支援B型を利用する際に、雇用契約を結ぶ必要はありません。
そのため、事業所のサービス提供日時の範囲であれば、障害の程度や体調に合わせて柔軟な働き方が可能です。
また、就労継続支援B型の利用にあたっては、事業所のサービス管理責任者によって個別支援計画が作成されます。
個別支援計画は利用者の意向や心身の状態を踏まえて作成され、サービス提供にあたっては利用者の意思を尊重するよう配慮されています。
そのため、自分の個性や得意分野を活かしながら生産活動などに取り組めるのも特徴です。
就労継続支援B型とA型、就労移行支援の違い
就労継続支援B型は就労継続支援A型や就労移行支援と同様に、障害者総合支援法に基づく訓練系・就労系サービスという位置づけです。
しかし、事業所との雇用契約の有無や一般企業での就労を目指すかどうかなどによってサービス内容が異なります。
就労継続支援B型
目的 | ・就労の機会を提供 ・能力向上に必要な訓練などの支援 |
|
対象者 | 一般企業で働くのが難しい人 | |
雇用契約 | なし | |
利用期間 | 定めなし | |
賃金 | 工賃が支払われる |
就労継続支援A型
目的 | ・就労の機会を提供 ・能力向上に必要な訓練などの支援 |
|
対象者 | 一般企業で働くのが難しい人 | |
雇用契約 | あり | |
利用期間 | 定めなし | |
賃金 | 給与が支払われる |
就労移行支援
目的 | 就職に必要な知識・能力を向上させる支援 | |
対象者 | 一般企業への就職を希望する障害者(65歳未満) | |
雇用契約 | なし | |
利用期間 | 原則2年間 | |
賃金 | 原則なし |
就労継続支援A型も、一般企業で働くのが難しい人に就労の機会を提供するサービスですが、事業所と雇用契約を結ぶため最低賃金額以上の給与が支払われます。
就労移行支援は、就労を希望する65歳未満の障害者が、必要な訓練・支援を受けられるサービスで、原則として工賃は発生しません。
なお、利用した日数に応じた利用料金がかかりますが、9割の利用者が無料でサービスを利用しています。
そのほか、一般企業に就職した後のフォローアップを目的とした、就労定着支援というサービスも提供されています。
一般企業で6ヶ月以上就労を継続している障害者が対象で、日常生活や社会生活での問題についての相談・助言等の支援を実施しています。
就労継続支援B型と「作業所」の関係
就労継続支援B型と作業所の関係は深いといわれています。
2006年に障害者自立支援法(現在の障害者総合支援法)ができるまでは、障害者支援に理解がある親の会といった団体や地域住民などが主体となって共同作業所(小規模作業所)を運営していました。
共同作業所の運営を支援する自治体が多かったものの、運営の安定性や障害者の自立面での課題もあちこちで見られました。
そのため、国は障害福祉サービスを誰もが公平に利用できる仕組みを確保したうえで、障害者の自立を支援するために障害者自立支援法を制定し、作業所でのサービスを訓練等給付に位置づけたのです。
現在、ほとんどの共同作業所が就労継続支援B型・A型や就労移行支援事業所に移行しました。
就労継続支援B型にはどんな人が通うの?
就労継続支援B型は、心身に障害がある人や障害者総合支援法の対象となる難病にかかっている人で、以下のいずれかに当てはまる人が通えます。
- 一般企業や就労継続支援A型で働いた経験があるが、年齢や体力の面で再就職が困難になった人
- 就労移行支援を利用した結果、就労継続支援B型の利用がふさわしいと判断された人
- 50歳に達している人
- 障害基礎年金1級を受給している人
- 就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターなどで就労アセスメントを受けて、就労継続支援B型の利用を希望している人
就労継続支援B型を利用する際の年齢制限は設けられていませんが、労働基準法第56条により就労が認められるのは15歳になって最初の4月1日以降です。
18歳未満の人が利用したい場合は就労アセスメントを受ける際に児童相談所長の意見書が必要となります。
ただし、特別支援学校の高等部に在学中に一般企業や就労移行支援事業所で実習を受け、本人や保護者などにアセスメント結果が提供された場合は、就労アセスメントを受けたとみなされます。
なお、障害者手帳の発行を受けていなくても、自治体で発行された障害福祉サービス受給者証を持っていれば、障害等級や障害支援区分にかかわらず就労継続支援B型を利用できます。
就労継続支援B型での仕事内容は?
就労継続支援B型では、利用者の障害特性や体調に合わせて生産活動に取り組めるよう、さまざまな仕事を提供しています。
近年では、利用者の希望に応じて在宅で支援を受けられる仕組みを整備する事業所も増えています。
就労継続支援B型での仕事内容をいくつか紹介します。
畑づくりや農作業・収穫・選別が主な作業内容です。
事業所での作業とは別に、地域の農家や団体に出向いて農作業や出荷準備に取り組む場面もあります。
事業所の活動に賛同してくれる飲食店・青果店や団体に販路を拡大するなど、工賃の安定化や事業所の知名度向上にスタッフが精力的に取り組む事業所もみられます。
データ入力や画像加工・書類のスキャンなど、利用者の特性に合わせて幅広く生産活動に取り組めるのが特徴です。
守秘義務や家族関係に配慮したうえで、在宅で作業に取り組める体制を整える事業所もみられます。
高い工賃を得られる可能性がある、データベース構築やホームページの編集、自作パソコンの組み立てといった高度な作業に取り組む事業所もみられます。
印刷機でチラシや冊子・はがきなどを印刷します。
宛名シールの貼り付けや綴じ込み・封入作業といった付帯作業も多いのが特徴です。
高速のプリンターが普及しているとはいえ、中小企業や町内会・団体からの印刷需要が根強く、信頼関係を築きながら作業に取り組める分野だといえます。
上記以外に、以下のような生産活動を提供する事業所もみられます。
- ハンドメイド雑貨の制作・販売
- カフェや食堂での調理・接客
- 名刺やパンフレットのデザイン
- 梱包作業
- 清掃作業
- 資源の選別作業
これまで働いてきた経験や自分の得意分野を家族・キーパーソンや相談室などと相談しながら、通いたい事業所を選ぶとよいでしょう。
就労継続支援B型では週何日・何時間くらい働けばいい?
就労継続支援B型では雇用契約を結ばずに就労するため、事業所のサービス提供時間内であれば障害や体調に合わせて働く日時を自分で決められます。
就労の機会を提供するという事業の特性から、働く時間は長くても1日8時間・週40時間以内で、休日も最低1~2日は付与されます。
多くの事業所では1日2〜4時間ほどの勤務時間となっていますが、週1回午前中、あるいは平日の1時間だけといった短時間の利用も可能です。
厚生労働省の通知にも、就労継続支援B型では出欠・作業時間が利用者の自由であることが明確に示されています。
(2) A型利用者(雇用無)及びB型利用者
ア 利用者の出欠、作業時間、作業量等が利用者の自由であること。
イ 各障害者の作業量が予約された日に完成されなかった場合にも、工賃の減額、作業員の割当の停止、資格剥奪等の制裁を課さないものであること。
ウ 生産活動において実施する支援は、作業に対する技術的指導に限られ、指揮監督に関するものは行わないこと。
エ 利用者の技能に応じて工賃の差別が設けられていないこと。
出典:「就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について」(厚生労働省通達 平成18年10月2日 障障発第1002003号)
具体的な利用日時は個別支援計画の中で決めていきますが、利用者の意向に反するスケジュールを押しつけてくることはないのでご安心ください。
事業所に前もって知らせておけば、利用日時を変更したり欠席・遅刻・早退をしたりしても問題ありません。
就労継続支援B型事業所によっては、サービス提供時間の開始・終了に合わせて送迎を実施している場合もあります。
定期の送迎を利用できなくても個別に送迎してくれる可能性があるので、短時間の利用を希望する場合は事業所の担当者に送迎の有無を確認してみるとよいでしょう。
また、就労継続支援B型を利用するために移動支援を利用できる場合があります。
定期利用として個別支援計画に組み込んだり、やむを得ない事情に限り個別対応で認めたりなど、自治体によって取扱いは異なります。
自分に合った形で就労継続支援B型を利用できるように、自力での通所や家族の送迎が難しい場合には、あらかじめ自治体の障害福祉課に相談してみるのも一つの方法です。
就労継続支援B型の2ヶ所利用は同日を避ける
利用者本人が希望したり、相談支援専門員が自立支援に有効だと判断したりすれば、2ヶ所以上の就労継続支援B型事業所を利用できます。
ただし、就労継続支援B型の利用料金(報酬)は日額で計算される仕組みなので、1日の中で就労継続支援B型の掛け持ち利用はできません。
同様に、就労継続支援B型を利用している時間帯に、居宅介護や重度訪問介護で家事援助を受けることもできないのでご注意ください。
自治体によっては、予約が重なった場合には事前にサービス等利用計画で利用を決めていた事業所に報酬を支払う運用にしているところがあります。
事業所とのトラブルを防ぐためにも、2ヶ所以上の就労継続支援B型を利用する場合は1日1ヶ所にすることを徹底し、事業所ごとの利用予定日時をサービス等利用計画に必ず明記してもらいましょう。
移動などに伴う、利用者自身の心身の負担軽減にもつながります。
なお、利用者の支援効果が高まるなどのメリットがある場合には、地域交流や創作活動の場の提供を主体とする地域活動支援センターとの同日利用を認めている自治体もあります。
詳しくは自治体の障害福祉課や相談支援専門員にご確認ください。
就労継続支援B型とアルバイトの併用は原則不可
就労継続支援B型では、一般企業での就労が難しい人を利用対象としています。
そのため、一般企業でアルバイトをしながら就労継続支援B型を利用することはできません。
仮に障害者雇用だったとしても「一般企業でアルバイトができるのなら、一般就労への移行に成功した」と判断される可能性があるからです。
ただし、一般企業への就労をスムーズに進める、あるいは長い就労時間に慣れていくといった具体的な目的があれば、自治体の判断によってアルバイトが認められる場合があります。
雇用保険の加入条件の兼ね合いから、アルバイトができる時間は週20時間未満に限られるでしょう。
自営を認める自治体もある
就労継続支援B型の利用に支障を来さないなら、個人で事業を営み収入を得ることを認めるという自治体もみられます。
例えば、動画やSNSのコンテンツから広告等の収益を得たり、絵やハンドメイド作品をオンライン販売・委託販売したりする方法です。
心身の疲労蓄積などによって就労継続支援B型を休みがちになると、何らかの指導が入る可能性がある点には注意しましょう。
一般企業で働けるようになった後の利用も検討中
近年では、一般就労へ移行した後も就労継続支援サービス(A型・B型)の利用を認めてはどうかという意見も出始めています。
厚生労働省の社会保障審議会障害者部会でも議論されている内容で、一般企業による障害者への合理的配慮を受けながら一般就労への移行をスムーズに進めるのがねらいです。
入社した企業と就労継続支援事業所・医療職などが相談し合える環境が整えば、長期にわたって安心して仕事を続けられるようになるでしょう。
就労継続支援B型の工賃はいくらくらい?
就労継続支援B型の1ヶ月あたりの工賃は、令和2年度の全国平均で15,776円でした(※)。
時間給に直すと222円で、令和2年度の全国平均の最低賃金902円を大きく下回っています。
出典:「令和2年度工賃(賃金)の実績について」(厚生労働省)
ちなみに、就労継続支援B型では利用者と雇用契約を結ばないため、労働基準法に基づく最低賃金の適用を受けません。
そのため、利用者が生産活動で得た報酬は「工賃」という形で支払われるのです。
工賃の額は事業所の規模や作業内容によって異なりますが、月の工賃平均額が5,000円未満の事業所もみられます。
一方、月の工賃平均額が3万円以上の事業所もあり、事業所ごとの賃金格差が大きいのが実情です。
就労継続支援B型の工賃は、利用者ごとの出席状況や活動時間によって支給されます。
基本的には、事業所として得た工賃総額(収入)から生産活動に必要な経費(支出)を引いた額が、利用者に分配されます。
工賃の主な支払方法は、以下のとおりです。
- 月給制(基本給+上乗せ給)
- 日給制
- 時給制
事業所によっては、活動実績を明確化する目的で月給制+時給制、または日給制+時給制を組み合わせている場合もあります。
就労継続支援B型の利用に費用はかかるの?
就労継続支援B型を利用する際は1日ごとに決められた利用料金がかかります。
一方、障害福祉サービス全体の利用者の約93%が無料で利用しているという厚生労働省のデータもあります(※)。
ただし、食費や行事の参加費、事業所の送迎を利用しない時の交通費といった実費は自己負担となる点には注意しましょう。
※出典:「障害福祉サービス、障害児給付費等の利用状況について」(厚生労働省)
また、就労継続支援B型を含む障害福祉サービスの利用料金には、月ごとの利用者負担に以下のような上限が設けられています。
▼月々の利用者負担の上限額
世帯の収入状況 | 毎月の負担上限額 | |
---|---|---|
生活保護受給世帯 | 0円 | |
市町村民税が非課税の世帯 | 0円 | |
市町村民税が課税される世帯(所得割が16万円未満) | 9,300円(※) | |
上記以外の世帯 | 37,200円 |
※グループホームの利用者や20歳以上の入所施設利用者がいる場合は37,200円
月々の上限額には、就労継続支援B型以外の居宅介護や重度訪問介護・同行援護・行動援護などの利用料金も含まれます。
ただし、移動支援については上限管理の対象外となる自治体もあるので、詳細は利用予定の事業所にご確認ください。
ちなみに、1日あたりの基本利用料金は3,940円~7,820円(394単位~702単位)で、利用者負担はその1割です。
利用料金は事業所の所在地や定員・平均工賃月額・特性によって定められています。
職員の人件費に充てる処遇改善加算や、専門的な相談援助を実施した際に適用されるピアサポート加算などが加算される場合もあります。
とはいえ、利用料金や加算額は法令で決められているので、事業所によって利用料金が極端に違うという事例は少ないです。
利用料金の月額上限も決まっているので、利用者としては料金について心配する必要はないでしょう。
就労継続支援B型から一般企業への就職を目指せる?
就労継続支援B型で各種活動に取り組む中で就労に必要な知識や能力を身に付ければ、一般企業への就職も目指せます。
一般企業への就職にあたっては、雇用契約やシフト表で決められた日時に出勤し、その日の所定労働時間に従って勤務できることが前提です。
したがって、一般企業に就職したいと考えるなら就労継続支援B型に週20時間ほど通う目標をたてて、以下の点に取り組みましょう。
- サービス等利用計画で決めた利用日時を守る
- 定期通院している場合は、通院ペースを崩さない(予約日時を守る)
- 体調やメンタル面を整える
- プログラム活動や部活動といった余暇活動があれば参加する
- 外部企業の実習に参加する
- 就職にあたって関心のあること・心配なことを職員に相談する
就労継続支援A型事業所へのステップアップを目標にしてもよいかもしれません。
一般企業に就職できる自信がついたら、就労移行支援事業所の利用に切り替えるのも一つの方法です。
就労移行支援では一般企業で働くことを前提に、履歴書などの応募書類の作り方や面接の受け方などの指導を受けられます。
なお、就労継続支援A型や就労移行支援を利用しなくてもハローワークの障害者専門窓口を利用して一般企業に応募したり、一般企業の障害者雇用枠に応募したりすることも可能です。
最近では大手企業の特例子会社を中心に、障害者を積極的に雇用する企業もみられます。
特例子会社とは障害者の雇用の促進・安定を図るため特別の配慮をした子会社です。
応募するかどうかは別として、一般企業の情報も時折確認してみるとよいでしょう。
就労継続支援B型が適しているのはどんな人?
就労継続支援B型は、時間をかけて一般企業に復職したい人や職員・他の利用者と無理なくコミュニケーションを取りたい人などにおすすめです。
- 身体障害や精神障害・知的障害・発達障害があり、一般企業への就職が難しい人
- 指定難病の治療と短時間の仕事を両立したい人
- 必要な時に介助を受けながら働きたい人
- 無職だった期間が長い人
- 短時間から働きたい人
- いきなり一般企業に応募するのに抵抗がある人
- 働きながら余暇活動も楽しみたい人
就労継続支援B型の利用までの流れは?
就労継続支援B型を利用するまでの手続きの流れは以下のとおりです。
- 主治医と相談する
- 利用したい就労継続支援B型事業所に相談する
- 自治体の窓口に相談する
- 障害福祉サービスの認定調査を受ける
- 就労アセスメントを受ける
- サービス等利用計画を作成する
- 就労継続支援B型事業所と契約を結ぶ
- 利用開始
1.主治医と相談する
自分の体調やメンタルの状態が就労継続支援B型事業所での作業に支障がないかどうかを、主治医に相談します。
障害年金を受給している人の場合は、診断書(障害状態確認届)を書いてもらっている医師に相談するとよいでしょう。
居宅介護など別の障害福祉サービスの利用を申請する際にも医師の意見書が必要となるため、定期的に通院していなくても医師への相談をおすすめします。
2.利用したい就労継続支援B型事業所に相談する
自分の性格や得意分野などに合った就労継続支援B型事業所を選んで、担当者に相談します。
電話やメールでの相談だけでなく、見学や体験利用を通じて事業所の雰囲気を直接確認することをおすすめします。
障害者手帳や障害福祉サービス受給者証がない状態でも、事業所の利用に関する相談は可能です。
3.自治体の窓口に相談する
自治体の窓口(障害福祉課など)に相談して、障害福祉サービスを利用したいと相談します。
相談の際は「就労継続支援B型事業所を利用したい」と伝えましょう。
就労継続支援B型事業所以外にも、本人の障害や病状に合わせて地域で自立した生活を送るために必要なサービスを提案してもらえます。
4.障害福祉サービスの認定調査を受ける
自治体の認定調査員が自宅を訪問して、心身の状況などを本人・家族にインタビューします。
インタビュー項目は約80項目と多く1時間ほどかかりますが、サービス支給量などを決める障害支援区分の決定に重要な調査です。
即答しなくても問題ないので、ありのままの状態を答えるようにしましょう。
認定調査を受けた後、1~2ヶ月ほどで障害福祉サービス受給者証が届きます。
5.就労アセスメントを受ける
特別支援学校の生徒など就労経験のない人は、就労移行支援事業所での就労アセスメントが必須です。
就労アセスメントとは、模擬作業や面談などを通じて生活や職業に関する能力や考え方をチェックする作業で、就労継続支援B型を利用したい人を対象に行なわれます。
なお、先ほど紹介した「就労継続支援B型にはどんな人が通うの?」の条件を満たしていれば、就労アセスメントを受ける必要はありません。
6.サービス等利用計画を作成する
地域で自立した生活を送るために必要なサービスの種類や、希望時間帯・利用する事業所などを計画書にまとめます。
セルフプランとして自分や家族が作成することもできますが、相談支援事業所に作成を依頼するとスムーズです。
相談支援事業所の利用料金は無料で、生活に関する相談はもちろん利用する事業所との各種調整も引き受けてくれます。
なお、自治体の窓口で相談支援事業所の紹介を受け、担当者と相談した後に主治医への相談などの手続きを進めていく事例もみられます。
7.就労継続支援B型事業所と契約を結ぶ
サービス等利用計画ができあがり、通いたい事業所が決まったら契約手続きを行います。
契約書と一緒にわたされる重要事項説明書には、利用料金や工賃に関する考え方・利用ルールが明記されています。
契約書や重要事項説明書に書かれている内容でわからない点があれば、担当者に詳しい説明をお願いしましょう。
また、複数の事業所を利用する場合は、契約の段階で利用料金の上限管理をしてもらう事業所も指定しておきます。
8.利用開始
事業所と決めた日時に、就労継続支援B型事業所へ通います。
送迎や食事のサービスがある場合は、事前の申し込みを忘れないようにしましょう。
就労継続支援B型の事業所選びのポイントは?
就労継続支援B型は、事業所によって作業内容やサービス提供時間・運営方法などがさまざまです。
自分に合った事業所を選ぶ際の3つのポイントを紹介します。
1.自宅から通いやすいか
徒歩や公共交通機関・マイカーで事業所に通う場合は、体力やメンタル面で無理が生じないかを必ず確認しましょう。
曜日・時間帯やルートによって道路や交通機関の混み具合が変わる点にも注意が必要です。
また、送迎がある事業所でも自宅からの所要時間は確認しておきましょう。
2.作業内容が自分に合っているか
自分の得意分野や過去の経験を活かせる作業かどうかも、事業所を選ぶ段階で確認しておきましょう。
無理なく作業に取り組めるか、必要な場面で職員などのサポートを受けられるかどうかも見学や体験利用の際に確かめておくと安心です。
3.工賃の計算方法が明らかにされているか
工賃の計算方法を確認しておくことも、就労継続支援B型に通所中のトラブルを防止するためには重要です。
工賃が月給制なのか日給制・時給制なのか、作業ごとの工賃はいくらかなどを十分に確認しておきましょう。
なお、事業所は利用者に対して、年度ごとの工賃の目標水準や利用者に支払われた工賃の平均額を知らせる義務が課せられています。
就労継続支援B型の今後は?
2022年7月時点での就労継続支援B型事業所数は全国で15,548ヶ所、のべ利用人数は315,929名で、事業所数・のべ利用者数とも2016年以降増加を続けています(※)。
出典:「障害福祉サービス、障害児給付費等の利用状況について」(厚生労働省)
就労継続支援B型事業所が増えている理由
自治体や医療機関・特別支援学校などによる一般市民への周知が進んでいることが就労継続支援B型事業所の増加要因の一つです。
事業所経営の面では、利用料金の9割は国から入金されるため売上金を回収できなくなるリスクが低いのが魅力といわれています。
就労継続支援B型は利用期間に制限がなく、一度利用者と契約を結べば契約期間が長期にわたるため営業活動にかかるコストも低めです。
これから就労継続支援B型を開業したい人へ
現在、事業所数が増えているため、利用者や生産活動に伴う取引先・販売ルートの確保に苦戦する事業所もみられます。
さらに、令和3年の障害福祉サービス報酬改定では、平均工賃月額に応じて1日あたりの就労継続支援B型サービス費が変動する方針に変わりました。
そのため、これから就労継続支援B型事業所を開業する場合は、付加価値の高い作業を提供して多くの工賃を得る経営戦略が求められます。
また、利用者の地域参加を評価する地域協働加算や、相談支援業務の対価としてのピアサポート実施加算も新設されているため、利用者への手厚いケアも重要です。
ミライクスの就労継続支援B型実践講座なら、およそ半年の実践的な研修を通して効率的に開業準備に取り組めます。
就労継続支援B型事業所の経営者や開業・運営支援に携わる行政書士などが講師を担当するため、実務で気になる点も気軽に質問できます。
開業後のロイヤリティはゼロ、経営者仲間との絆も深まるのも魅力です。
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