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2023.6.12
2023.5.29
【放課後等デイサービス】多機能型
障害福祉サービスを提供している事業所の中には、2つ以上のサービスを一体的に提供している多機能型の事業所もあります。
特に放課後等デイサービスと児童発達支援など、人員配置基準や運営基準に共通項が多いサービス同士は、併設しやすいものです。
多機能型事業所には人員配置基準や設備基準に特例が設けられているため、単体運営よりも収益性が高まるメリットがあります。
この記事では、多機能型事業所とは何か、放課後等デイサービスの多機能型事業所を開設する場合の特例や指定要件などの基礎知識を解説するので、チェックしてみてください。
この記事の監修者・執筆者
目次
多機能型事業所とは?
多機能型事業所とは、障害者総合支援法または児童福祉法に基づく事業のうち2つ以上を「一体的に」行う事業所のことです。
具体的には、以下のサービスを提供する事業所を併設しているものを指します。
- 児童発達支援
- 医療型児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 居宅訪問型児童発達支援
- 保育所等訪問支援
- 生活介護
- 自立訓練(機能訓練)
- 自立訓練(生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
多機能型事業所の運営が一体的に行われているかどうかを判断する要件は、以下のとおりです。
- 利用申込などの手続き、職員への技術指導などが一体的であること
- 事業所間で相互支援の体制があること
- 運営規程(事業目的・運営方針、営業日・営業時間、利用料など)が一本化されていること
- 職員の管理方法(人事、給与・福利厚生、勤務条件、勤務体制、勤務内容など)が一元的であること
- 事務所間の会計管理が一元化されていること
自治体によっては明言されていない項目もありますが、おおむねこのような要件を満たすことが一体的に運営されている事業所として認められるためのポイントです。
多機能型の放課後等デイサービスに認められる特例
多機能型事業所には、人員配置基準と運営基準に特例が認められています。
そのため、放課後等デイサービスと他のサービスを多機能型事業所で行う場合、収益性をアップさせることにもつながります。
児童福祉法に基づく事業をあわせて行う場合の特例
放課後等デイサービスと児童発達支援を行う多機能型は、どちらも児童福祉法に基づく事業であり、共通項が多いため両立させやすい事業同士です。
このケースでは、以下の特例が適用されます。
1.人員配置
- 各通所支援施設に必要な従業員を確保すれば、従業員の兼務が可能
- 常勤の従業員は事業所で1人以上
放課後等デイサービスと児童発達支援をそれぞれ別に行う場合は、従業員(児童指導員または保育士)を合計4人以上(そのうち2人以上は常勤)配置する必要があります。
しかし、午前は児童発達支援、午後は放課後等デイサービスと時間帯を分けたり両サービスを一体的に行ったりする場合は、必要な従業員数は合計2名以上(そのうち1人以上は常勤)となり、同じスタッフが従事しても問題ありません。
ただし、従業員の労働時間は原則として1日に8時間、1週間に40時間までと法律で決められています。
サービス提供時間が8時間を超える、または土日も開所する場合は、従業員を増やさなければならなくなるため注意が必要です。
2.運営基準
<定員>
- 定員は合算して10人以上にできる
- 主に重症心身障害児が通う場合は定員5人以上
単独の場合、放課後等デイサービスと児童発達支援の定員はどちらも10人(重心型は5人)以上です。
午前(児童発達支援)と午後(放デイ)とで事業を分ける場合、午前が6人で午後が8人であっても従業員の数は定員10人の場合と同じで済みます。
また、多機能型の場合は合算した人数を定員として数えるので、設備の広さについても定員10人としての用意があればよいことになります。
<設備>
サービス提供に支障がなければ、別事業間で設備を兼用してよい
時間をずらして児童発達支援と放課後等デイサービスを運営する場合など、利用者が重なる時間がなければ設備を兼用しても問題ありません。
トイレや洗面所の数が少なくないかなど、利便性の面からの確認も忘れずに行いましょう。
障害者総合支援法に基づく事業をあわせて行う場合の特例
放課後等デイサービスと生活介護、放課後等デイサービスと就労継続支援B型などを行う場合について解説します。
1.人員配置
- 常勤の従業員は事業所で1人以上常勤の従業員は事業所で1人以上
- 管理者・サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者を除き、従業員間の兼務は不可管理者・サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者を除き、従業員間の兼務は不可
放課後等デイサービスと障害者総合支援法に基づくサービスを行う場合も、常勤の従業員は1人以上配置すればよいことになっています。
管理者・サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の間での兼務は可能ですが、従業員間の兼務は以下の場合を除き行えません。
- 利用定員の合計が19人以下で、サービス管理責任者とほかの職務を兼務する場合
- 児童福祉法に基づく事業間
なお、サービス管理責任者・児童発達管理責任者は、利用者数に応じて以下の人数を配置します。
サービス管理責任者・児童発達管理責任者の人数
事業所の利用者数 | サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の人数 |
---|---|
60人以下 | 1人以上 |
61人以上100人以下 | 2人以上 |
2.運営基準
<定員>
多機能型事業所の利用定員が合計20人以上の場合、各事業の利用定員は以下になります。
種類 | 定員 |
---|---|
生活介護 | 6人以上 |
自立訓練(機能訓練) | 6人以上 |
就労移行支援 | 6人以上 |
自立訓練(生活訓練) | 6人以上 |
就労継続支援A型 | 10人以上 |
就労継続支援B型 | 10人以上 |
児童発達支援 | 5人以上 |
医療型児童発達支援 | 5人以上 |
放課後等デイサービス | 5人以上 |
<設備>
- サービス提供に支障がなければ設備の兼用が可能
- 訓練・作業室は、障害福祉サービスごとに設置する
放課後等デイサービスと障害者総合支援法に基づくサービスを行う多機能型事業所の場合、放課後等デイサービスの指導訓練室と生活介護・就労継続支援B型などの訓練作業室は別に設ける必要があります。
多機能型の放課後等デイサービスの指定要件
多機能型の放課後等デイサービスとして指定を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 法人格を有すること
新規で事業を始める場合は、法人を設立します。
既存法人ならば、目的追加の変更登記が必要です。 - 市区町村から多機能型の指定を受けること
多機能型の放課後等デイサービスの指定を受けるのも、単独で指定を受けるのと基本的には同じです。
以下の要件を満たしたうえで申請してください。
- 基準を満たす従業員の確保をしていること
管理者/児童発達支援管理責任者/児童指導員または保育士等、職種ごとに決められた人数を配置する -
基準を満たす設備の確保をしていること
- 指導訓練室、相談室、事務室、トイレ、洗面所を備え、広さなどの要件を満たす
- 建築基準法・消防法の基準を満たす
また、2つの事業所は同じ敷地になくてもかまいませんが「地域的範囲」の中に所在していることが要件です。
地域的範囲とは、主たる事務所と従たる事務所が同一の生活圏内にあることを意味します。
緊急時にサービス管理責任者が適切に対応できる距離、おおむね30分以内の距離に両事務所があることが必要です。
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放課後等デイサービスや児童発達支援といった障害児通所支援は、近年ニーズが上がっている事業です。
特に放課後等デイサービスは、総費用額・利用児童数・請求事業所数とも児童発達支援の倍以上の増加を見せています。
しかし、3年に一度の法改正・報酬改定もあり、事業を成功させて生き残っていくのは容易ではありません。
多機能型へのチャレンジは、積極的な経営を実現させる一つの方法です。
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参考文献・URL
- 障害福祉サービス事業の形態について(兵庫県)
- 多機能型に関する特例(岐阜県)
- 多機能型(複数の事業を組み合わせて実施する場合)の特例(札幌市)
- 多機能型事業所について(大阪府)
- 障害児通所支援の現状等について(厚生労働省)
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執筆者
ミライクス運営事務局