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2023.8.9
2023.7.12
放課後等デイサービスの延長支援加算とは?届出方法から注意点まで解説!
放課後等デイサービスの延長支援加算とは、放課後等デイサービスにおいて営業時間前後にサービスを提供した際に算定できる加算のことです。
延長支援加算の算定には、
- 送迎時間は延長には含まれない
- 営業時間が8時間以上であること
- 届出をすること
- やむを得ない理由があること
といった注意点があります。
この記事では、延長支援加算の算出単位や算出条件、届出方法などについて詳しく解説します。
目次
放課後等デイサービスで算定できる「延長支援加算」とは?
延長支援加算とは、放課後等デイサービスで算定できる加算のひとつです。
具体的には、放課後等デイサービスに通う就学児に対し、運営規定に定められている営業時間前後に放課後等デイサービス計画に基づいたサービスを提供した場合に算出できます。
たとえば、営業時間が9〜17時の施設で8〜18時に児童を受け入れた場合は
- 8〜9時の1時間
- 17〜18時の1時間
の計2時間が延長支援として加算の対象となります。
ここで疑問となるのが「営業時間とサービス提供時間の違い」ではないでしょうか。
両者の違いは以下の通りです。
▼放課後等デイサービスの営業時間とサービス提供時間の違い
営業時間 | 職員が出勤しており、受付や連絡が可能となる時間帯 |
---|---|
サービス提供時間 | 営業時間内で児童の支援を行う時間帯 |
営業時間とサービス提供時間は、どちらも運営規定に定める必要があります。
両者は同じ時間でも問題ありませんが、サービス提供時間には人員基準において配置すべき職員を置かなくてはならないため注意しましょう。
延長支援加算の算定単位は?
延長支援加算の算定単位は、児童の障害の程度や延長時間によって変動します。
▼障害児に対する延長支援加算の算定単位
1時間未満 | 61単位/日 |
---|---|
1時間以上2時間未満 | 92単位/日 |
2時間以上 | 123単位/日 |
▼重症心身障害児に対する延長支援加算の算定単位
1時間未満 | 128単位/日 |
---|---|
1時間以上2時間未満 | 192単位/日 |
2時間以上 | 256単位/日 |
延長支援加算は利益を出すための加算ではなく、人件費を補填するための加算です。
そのため、加算給付額と人件費とのバランスを考慮したうえで、延長支援の加算申請を行うか否かを判断します。
では、延長支援を行うことによって、一体いくらの利益が出るのかを計算してみましょう。
61(算定単位)×10(円※)×2(人)×4(回)=4,880円/月
もし、パート職員1名(人件費:1000円)が対応した場合、
1(人)×1000円(円)×4(回)=4000円/月
となるため、利益は880円/月です。
※実際の単価は地域区分によって異なります。
算定単位は延長時間に応じて上がりますが、一般的な放課後等デイサービスの場合は123単位/日が上限のため、1人であれば1,230円程度、2人だと2,460円程度の加算額となります。
一方、延長サービスを提供する場合は、急を要するケースが多いため、労務管理にも注意が必要です。
たとえば、パートの直接支援員を配置するなら、延長時も勤務表に記し、必要に応じて時間外労働の賃金を払います。
なお算定の際に、延長サービスの実態を提出することもあるので、日々の記録を付けることが大切です。
記録するポイントは、以下の通りです。
- サービスを提供した児童指導員または保育士の名前(1名以上)
- サービスを提供した時間帯(何時から何時まで支援したか)
- サービス内容
- 児童の保護者への対応
- 児童の体調等
- 営業時間外にサービスを提供した理由(やむを得ない理由)
記録を付けることは、後のトラブル防止にもつながります。
請求基準の時間数と支援記録の時間数は、実地指導でもチェックされるポイントとなるため、相違のないよう記載しましょう。
延長支援加算の算定条件は?
延長支援加算を算定するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 運営規程に定められている営業時間が8時間以上であること
- 直接支援業務を行う職員を1名以上配置していること
- やむを得ない理由があり、その理由が障害児支援利用計画に記載されていること
- 事前に届出があること
運営規程に定められている営業時間が8時間以上であること
サービス提供時間にかかわらず、運営規程上の営業時間が8時間以上である必要があります。
たとえば、営業時間が9〜17時の施設で8〜12時の4時間サービスを利用した場合は、8〜9時の1時間分が加算対象となります。
8時30分〜17時30分まで利用した場合は、8時30分からの30分と17時30分までの30分を合算した1時間分が加算対象です。
つまり、利用者の利用時間が8時間以上であっても8時間未満であっても、営業時間外のサービスであれば加算の対象となります。
ただし、送迎時間は加算対象外となるため注意しましょう。
直接支援業務を行う職員を1名以上配置していること
放課後等デイサービスで直接支援業務を行う職員は、児童指導員または保育士です。
管理者やサービス管理責任者、児童発達支援管理責任者は含まれないので注意しましょう。
なお、延長時に児童指導員、保育士が送迎に出ていて不在となる場合は、加算の対象外となります。
そのため、送迎の時間帯に延長支援加算を算出する場合は、必要な配置ができるようシフト管理をしっかり行うことが大切です。
やむを得ない理由があり、その理由が障害児支援利用計画に記載されていること
ここでいう「やむを得ない理由」とは、以下の通りです。
- 保育所等の子育て支援に係る一般施策において、当該障害児を受け入れることができないとき。
つまり、子育て支援施設(保育所など)で障害児の受け入れが認められない場合のことを指します。 - 保育所等を利用している場合であっても、児童発達支援等の利用が必要であるとき(併行利用の場合)
- 保護者の就業によって、お迎えに行けないとき
延長支援加算を算出するには、上記のような延長支援をせざるを得ない状況が必要です。
そのため、自治体から「事業所側の都合でサービスを提供している」や「臨時的な対応でない」と判断された場合はトラブルになりかねません。
常態的な延長サービスを行っている事業所は、加算ではなく、営業時間の再検討が求められることもあります。
また、「やむを得ない理由」を記載する障害児支援利用計画は、セルフプランでも算定可能なケースもあるため、詳しくは各自治体に問い合わせてみてください。
事前に届出があること
延長支援加算は、事後の申請ができないので注意が必要です。
延長支援加算を算定するには、事前に「延長支援加算体制届出書」などの書類提出が求められます。
延長支援加算の届出方法は?
延長支援加算の届出の手順は、以下の2ステップです。
ひとつずつ確認していきましょう。
1.必要書類の準備
延長支援加算の届出をする際は、まず、必要書類を準備します。
必要書類は自治体により異なる場合があるので、事前に自治体のウェブサイトをチェックしましょう。
- 障害児通所給付費算定に係る体制等に関する届出書
- 障害児通所給付費の算定に係る体制等状況一覧表
- 延長支援加算体制届出書
- 個別支援計画書の写し など
2.算定開始月の前月15日までに提出
延長支援加算の届出は、算定開始月の前月15日までに提出します。
たとえば、令和5年10月から延長支援加算の算出を開始したいときは、令和5年9月15日が提出期限です。
15日が事業所の休業日の場合は、前日の営業日までに提出します。
延長支援加算の必要書類は、障害福祉課等に提出するケースが一般的ですが、自治体によって異なることもあるため、事前に確認しましょう。
放課後等デイサービスの開業を検討されている方へ
放課後等デイサービスの健全な運営には、十分な加算を確保する必要があります。
延長支援を行う場合は、しっかり届出をして加算を取得したいところです。
しかし、延長支援加算には条件もあり、書類作成も複雑で手間もかかります。
さらに、実地指導で自治体とトラブルになるケースも少なくありません。
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- 「事業所から問い合わせの多かった事項」(滋賀県)
- 「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準」(厚労省)
- 「WAM NET 障害福祉サービス等指定基準・報酬関係Q&A」(独立行政法人福祉医療機構)
- 「(参考)延長支援加算について」(岡山市)
- 「変更届(加算に関するものを含む)の提出時期に関する注意点について」(東京都)