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2023.8.25
2023.7.12
就労継続支援B型の設備基準は?物件選びのポイントも解説
就労継続支援B型の設備基準とは、訓練・作業室や相談室、洗面所など、事業所の設備や立地などについて細かく指定されたものです。
広さの規定はありませんが、自治体によっては推奨基準を設けているところもあります。
また、就労継続支援B型の開業にあたり、設備基準をクリアするだけでなく、建築基準法や消防法の基準も満たさなければいけません。
この記事では、就労継続支援B型の開業を目指す方に、設備基準や法的な注意点、物件選びのポイントなどを紹介します。
目次
就労継続支援B型の設備基準とは?
就労継続支援B型の設備基準では、就労継続支援A型のルールに準じ、運営上必要な設備を設けなければならないとされています(※)。
※出典:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」第二百条(e-GOV法令検索)
具体的には、訓練・作業室、相談室、洗面所、トイレ、多目的室の設置が必要です。
▼就労継続支援B型の必要設備
設備 | 概要 |
---|---|
訓練・作業室 |
|
相談室 | プライバシーに配慮し、間仕切りなどが設置されている |
洗面所 | 利用者の特性に応じたもの |
トイレ | 利用者の特性に応じたもの |
多目的室 | 支援に支障が無ければ、相談室との兼用でも可 |
設置基準の詳しい内容は自治体(指定権者)によって異なりますが、
- 訓練・作業室の面積に関する指針が設けられている
- 相談室はプライバシーに配慮して個室にする
- 手洗いやトイレでは利用者が使いやすい設備を設置する
など具体的な例を挙げているところもあります。
詳しくは、事業所を開設する自治体に問い合わせてみるといいでしょう。
次に、それぞれの設備について解説します。
訓練・作業室
訓練・作業室は、利用者に就労と就労に向けた訓練をしてもらうためのスペースです。
訓練や作業などのサービスを提供するにあたり、支障がない広さが確保されていることや、必要な器具や備品を備えていることが求められます。
広さの規定は、一人当たり3㎡程度としているところが多いとされますが、地域によっては独自の基準を設けている場合があるため、確認が必要です。
たとえば東京都では広さの基準はありませんが、愛知県名古屋市では利用者一人あたり3.3㎡を推奨基準としています。
事業所を開設する自治体の基準に従いましょう。
相談室
利用者と面談をする際に利用する部屋で、話の内容が他人に漏えいしないよう、間仕切りなどを設置することが求められます。
自治体によっては個室を設置しなくてはいけない場合もあります。
また、特に基準などはありませんが、相談には家族やケースワーカーが同席することもあるので、3〜4人が座れるように椅子や机を用意するといいでしょう。
洗面所
トイレの手洗いとは別に、利用者の特性に応じた洗面所を設けます。
誰でも利用しやすいように自動水洗やレバー式水洗を設置したり、石鹸やペーパータオル、アルコール消毒液といった備品の設置を求められる場合があります。
トイレ
トイレは利用者の特性に応じたものを設置します。
安全に使用できるように、手すりの設置や、段差の解消が求められることがあります。
プライバシーに配慮して、
- 男女別、または女性用と男女共用のトイレを用意する
- トイレ内に緊急呼び出しを設置することが望ましい
としている自治体もあるので、必ず確認をしましょう。
洗面所と同様、誰でも利用しやすいように、自動水洗、レバー式水洗などの設置を推奨するところもあります。
多目的室
利用者が休憩や食事の際に利用するスペースです。
利用者の支援に支障がない場合は、相談室と兼用してもかまいません。
スペースを兼用する場合は、いろいろな使い方ができる設備と家具を設置しておくと、いざという時に便利です。
例えばソファベッドは、利用者が体調を崩したときにベッドとして使うことができるので、おすすめです。
就労継続支援B型が満たすべき建築基準法・消防法の基準は?
就労継続支援B型として物件を利用するには、設備基準だけでなく建築基準法や消防法の基準を満たしていなければいけません。
それぞれの基準を守って、施設の利用者やスタッフが安全に過ごせる事業所にしましょう。
建築基準法
建築基準法は、建造物の敷地や設備、構造、用途について定めた法律で、使用する人の生命や健康を守るための基準が定められています。
建築基準法で就労継続支援B型は「児童福祉施設等」に分類され、これは防火・避難に対する基準が厳しい「特殊建築物」にあたります。
床面積が200㎡を超える既存の建物を利用して、就労継続支援B型を開業する場合は、用途変更の確認申請手続きが必要です。
住宅や事務所として使っていた建物を、コンビニや飲食店、福祉施設にするなど、当初の用途から別の用途に転用すること。
床面積が200㎡以下の場合、用途変更の確認申請手続きは不要ですが、新たな用途の建築基準法や消防法への適合は引き続き求められます。
違反すると、使用禁止や除却命令が下される可能性もあるので、不安がある場合は事前に自治体の建築指導部などに確認・相談するといいでしょう。
消防法
消防法は、火災の予防や、火災による被害の軽減などを目的に定められた法律です。
消防法では火災予防の対象となるものを「防火対象物」といいます。
その中でも、災害時要援護者(※)が利用する福祉施設や病院、不特定多数の人が出入りする施設は、火災が発生した場合の人命危険が高いことから「特定防火対象物」という扱いになります。
※ 災害時、情報を把握したり安全な場所に避難するために支援を要する方のこと。障害のある方のほか、老人や幼児が該当する。
就労継続支援B型は、特定防火対象物に該当するので、消防設備を設置しなくてはいけません。
設置基準は、建物の用途や障害支援区分4以上の利用者の割合、利用形態によって変わります。
就労継続支援B型は「6項ハ」の区分に当てはまるため、設置が必要な消防設備は次の通りです。
<就労継続支援B型に必要な消防設備>
消防設備 | 設置基準 |
---|---|
誘導灯 | 建物のどの階でも設置 |
消火器 | 延べ面積150㎡以上 |
屋内消火栓設備 | 延べ面積700㎡以上 |
スプリンクラー設備 | 延べ面積6000㎡以上(平屋建以外のもの) |
自動火災報知設備 | 延べ面積300㎡以上 |
漏電火災警報機 | 延べ面積300㎡以上 |
火災通報装置 | 延べ面積500㎡以上 |
非常警報設備 | 収容人員50人以上 |
避難器具 | 収容人員20人以上(2階または地下の場合) |
スタッフと利用者が計30人以上になる場合は、防火管理者の選任も必要です。
なお、防火対象物を使用する際には、使用開始7日前までに、防火対象物を管轄する消防署に防火対象物使用開始届を提出する必要があります。
消防法に違反すると、
- 消防法に基づく命令や罰則を受ける
- 建物名や違反の内容が消防本部または自治体のホームページで公表される
可能性もあるため、計画段階から管轄の消防署に相談することをおすすめします。
就労継続支援B型に適した物件は?
就労継続支援B型を開業する場合、ビルのテナントや戸建を利用するのが一般的です。
マンションを利用することもできますが、開業用途での利用が厳しくなってきているため、避けた方が無難でしょう。
面積の規定は特に設けられていませんが、仮に1人当たり3.3㎡を基準に定員20名として計算すると「3.3㎡×20名=66㎡」を超える広さの訓練・作業室を確保できる物件を選ぶ必要があります。
また、用途変更申請の確認手続きが不要となる、全体の床面積が200㎡以下の物件がおすすめです。
立地については、利用者の通所やスタッフの通勤などを考慮すると、利便性の高い駅の近くなどが候補となります。
ただし利用者の送迎を行えば加算を算定できるので、送迎の実施を視野に入れて、駅から離れた物件を探すのもいいでしょう。
送迎を行う場合、駐車場の確保が必要になります。
駐車場は3台分ほど確保できると、来客などにも対応できて便利です。
就労継続支援B型を開業するならミライクスがおすすめ
就労継続支援B型の売上は、利用者の稼働率に直結しています。
利用者にとって通いやすく、作業に取り組みやすい環境を作れば、稼働率の向上が期待でき、これにより平均工賃が上がれば事業所の基本報酬アップにもつながります。
就労継続支援B型事業所の開業には、設備基準を満たした物件選びに加え、建築基準法・消防法に関する手続きを、抜けや漏れがないように進めることも欠かせません。
建築基準法や消防法は内容が細かく、専門的な知識がないと手続きを煩雑に感じるかもしれませんが、スムーズな開業のためにも確実にクリアしなければいけないポイントです。
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- 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準(平成十八年厚生労働省令第百七十四号)」(e-GOV法令検索)
- 「防火対象物の用途区分表(消防法施行令別表第一)」(総務省消防庁)
- 「消防法における消防用設備等の設置について」(豊橋市消防本部)