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2023.11.8
2023.10.25
【2023年度版】就労継続支援B型事業所が申請できる助成金・補助金を紹介!
就労継続支援B型事業所を事業として取り組みたいと思っていても、お金に関する不安があり、一歩踏み出せずにいる人もいることでしょう。
実は、就労継続支援B型事業所も、国や自治体の助成金制度を利用することができます。
また、この助成金は、募集条件を満たせばほぼ受給できるため、申請のハードルが低いのも特徴と言えます。
この記事では、2023年度に申請できる助成金に加え、さまざまな目的に活用できる補助金も紹介します。
目次
就労継続支援B型事業所が活用できる助成金
就労継続支援B型事業所が活用できる主な助成金には、以下があります。
- キャリアアップ助成金
- 人材開発支援助成金
- 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
助成金は、主に厚生労働省が提供しており、雇用に関するものが多くなっています。
就労継続支援B型の場合は、生産活動を行う利用者を従業員としてカウントすることはできないため、注意が必要です(※)。
※出典:「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(厚生労働省)
また、助成金等にはこの他にも支給要件があります。
申請をするときには、各助成金等の支給要件を必ず確認し、助成金の対象かどうかを判断することが大切です。
次に、各助成金について、詳しく解説します。
キャリアアップ助成金
キャリアップ助成金とは、非正規雇用の従業員の処遇改善を行った場合に事業主が助成を受けられる制度のことです。
具体的には、有期雇用労働者等、いわゆる「非正規雇用労働者」を正社員に転換したり、直接雇用したりしたときに、事業主に助成金が支払われます。
キャリアアップ助成金は、取組内容によって5つのコースに分かれています。
▼キャリアアップ助成金の種類
正社員化支援 | 正社員化コース |
障害者正社員化コース | |
処遇改善支援 | 賃金規定等改定コース |
賃金規定等共通化コース | |
賞与・退職金制度導入コース | |
短時間労働者労働時間延長コース |
助成金制度は適宜に見直しも行われており、正社員化コース・賃金規定等共通化コースは令和4年12月2日から制度が拡充されており、助成金額もアップしています。
特に正社員化コースは人材開発支援助成金も一緒に活用することで、最大68万円の助成を受けられるようになっています。
具体的な助成額は下記の通りです。
▼正社員化コースの1人当たりの助成額
転換前の雇用形態 | 有期雇用労働者 | 無期雇用労働者 |
---|---|---|
中小企業 | 57万円 | 28万5,000 円 |
大企業 | 42万7,500 円 | 21万3,750 円 |
※1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は20人
※措置によっては加算が受けられる場合がある
助成金を受けるためには、下記の3つの要件をクリアしていなければなりません。
(1)キャリアアップ計画
コース実施日の前日までに、労働者のキャリアアップのためにどのような取り組みをするのか、計画や取り組みを記載した「キャリアアップ計画」を作成・提出していること。
ただし、2023(令和5)年度より、人材開発支援助成金の訓練後に正社員化し、キャリアアップ助成金(正社員化コース)を申請する場合は「訓練実施計画届」の作成・提出によりキャリアアップ計画の提出が免除されます。
(2)制度の規則化
正社員に転換する制度を就業規則などに規定していること。
(3)正社員化
ただ正社員にするだけでなく、転換後6ヶ月間の賃金を、転換前6ヶ月間の賃金よりも3%以上増額させていること。
なお、助成金には制限はあり、1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は20人までです。
また、派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する等措置によっては、加算が受けられる場合もあります。
2023年度より順次「雇用関係助成金ポータル」で電子申請できるようになる予定です。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、事業主が従業員に訓練を行った場合に訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度のことです。
また、人材開発支援助成金の特定の訓練を修了した後に正社員化すると、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の助成額が増額されるというメリットもあります。
▼正社員化コースの1人当たりの助成金額
金額 | 基本助成額 | 訓練加算額(自発的・定額制訓練の場合) | 合計(自発的・定額制訓練の場合) |
---|---|---|---|
中小企業 | 57万円 | 9万5,000円 (11万円) |
66万5,000円 (68万円) |
大企業 | 42万7,500 円 | 9万5,000円 (11万円) |
52万2,500円 (53万7,500円) |
※有期→正規の場合の助成額。無期→正規の場合は上記の半額となる
2023(令和5)年4月に、
- 特定訓練コース(正規雇用労働者向け)
- 一般訓練コース(正規雇用労働者向け)
- 特別育成訓練コース(有期契約労働者等向け)
の3コースを統合した「人材育成支援コース」が創設されました。
人材育成支援コースとは、職務に関連した専門知識・技能の習得のための職業訓練を行うコースです。
具体的には介護福祉士実務者研修などがありますが、eラーニングなども助成対象になっています。
このうち有期雇用労働者等の正社員への転換を目的として実施する「有期実習型訓練」は、以下の基本要件を満たす必要があります。
- OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせて実施すること
- 総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること
- 訓練実施期間が2ヶ月以上であること
- 総訓練時間が6ヶ月当たりの時間数に換算して425時間以上であること
- 訓練終了後にジョブ・カードで職業能力の評価を行うこと
事業主がOFF-JTを実施した場合、下記の経費が支給対象となります。
支給申請までに対象経費の全額を申請事業主が負担していることが条件です。
▼助成金の対象となる経費
項目 | 金額 | その他 |
---|---|---|
部外講師の謝金・手当 | 1時間当たり1万5,000円が上限 | 謝金以外の日当は社内の支出規定がある場合のみ1日当たり上限3,000円まで計上可 |
部外講師の旅費 |
|
|
施設・設備の借上げ費 | 指定なし |
※助成対象コースのみに使用したことが確認できるもの |
カリキュラム開発作成を外部委託した場合にかかった経費 | 指定なし |
※事業主団体等及び傘下の事業主に外部委託した場合は対象外 |
学科や実技の訓練等を行う場合に必要な教科書・教材の購入費 | 指定なし | 教科書は頒布を目的として発行される出版物のみ |
外部の教育訓練施設等に支払う受講料、教科書代等(事業外訓練の場合) | 指定なし | 国や都道府県から補助金を受けている施設が行う訓練の受講料や受講生の旅費等は対象外 |
そのほか、訓練期間中の所定労働時間内の賃金も賃金助成の対象となり、1人1訓練当たり1,200時間(専門実践教育訓練は1,600時間)が限度時間となります。
また、1事業所が1年度に受給できる助成額は、支給申請日を基準として1,000万円が限度額です。
▼有期実習型訓練の場合の助成額・助成率
有期契約労働者等 | 有期契約労働者等を正規雇用労働者等へ転換等した場合 | |
---|---|---|
経費助成 | 60% ※賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は+15% |
70% ※賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は+30% |
賃金助成(1人1時間当たり) | 760円(380円) ※賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は+200円(+100円) |
760円(380円) ※賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は+200円(+100円) |
OJT実施助成(1人1コース当たり) | 10万円(9万円) ※賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は+3万円(+3万円) |
10万円(9万円) ※賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は+3万円(+3万円) |
※カッコ内は大企業の助成額・助成率
▼1人当たりの経費助成限度額
支給対象となる訓練 | 20時間以上 100時間未満 |
100時間以上 200時間未満 |
200時間以上 |
---|---|---|---|
人材育成支援コース | 15万円 (10万円) |
30万円 (20万円) |
50万円 (30万円) |
※カッコ内は大企業の限度額
支給申請期間は、職業訓練終了日(最後に訓練を行った日)の翌日から起算して2ヶ月以内です。
期間を超えての申請は支給対象外となってしまうため、注意しましょう。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
特定求職者雇用開発助成金の特定就職困難者コースとは、
- 高年齢者(60歳以上)
- 障害者
- 母子家庭の母など
の就職困難者を、ハローワーク等の紹介で継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる場合、事業主に対して助成されます。
2023(令和5)年度より、特定就職困難者コースの対象に65歳以上の方が追加されました。
支給額は一週間の所定労働時間によって違います。
▼短時間労働者以外の人
対象労働者 | 支給額 | 助成対象期間 | 支給対象期ごとの支給額 |
---|---|---|---|
|
60万円 (50万円) |
1年 | 30万円×2期 (25万円×2期) |
身体・知的障害者 | 120万円 (50万円) |
2年 (1年) |
30万円×4期 (25万円×2期) |
重度障害者等※ | 240万円 (100万円) |
3年 (1年6ヶ月) |
40万円×6期 (33万円×3期※) ※第3期の支給額は34万円 |
※重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者および精神障害者
▼短時間労働者(一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の人)
対象労働者 | 支給額 | 助成対象期間 | 支給対象期ごとの支給額 |
---|---|---|---|
|
40万円 (30万円) |
1年 | 20万円×2期 (15万円×2期) |
障害者(重度障がい者等を含む) | 80万円 (30万円) |
2年 (1年) |
20万円×4期 (15万円×2期) |
※カッコ内は中小企業事業主以外に対する支給額・助成対象期間
就労継続支援B型事業所が申請できる補助金
就労継続支援B型事業所は、助成金のほか補助金を受給できる可能性もあります。
補助金は助成金に比べ審査の難易度が高いのですが、数百万円規模の金額が支給されるものもあるのが特徴です。
▼助成金と補助金の違い
助成金 | 補助金 | |
---|---|---|
審査の有無 | あり | あり |
難易度 |
|
|
金額 | 100万円以下のものが多い | 100万円を超える規模のものもある |
募集期間 | 通年 | 短め |
就労継続支援B型事業所が申請できる主な補助金には以下のようなものがあります。
- 社会福祉施設等施設整備費補助金
- IT導入補助金
- その他の補助金
社会福祉施設等施設整備費補助金
社会福祉施設等施設整備補助金とは、社会福祉施設の創設や大規模修繕等を行う社会福祉法人等に対して補助金が支給される制度です。
株式会社や合同会社も補助金の対象となっていますが、公益性の高い法人が優先される自治体もあります。
補助金は、国が定める事業(施設)の種類ごとの補助基準単価の合計額と対象経費(総事業費から対象外経費を控除した額)の4分の3のいずれか低い方が支給されます。
▼社会福祉施設等施設整備費補助金の整備内容・補助基準額
整備区分 | 概要 | 補助基準額 | 最大補助額 |
---|---|---|---|
創設 | 事業所の新築(法人所有の建物) | 都市部:5,570万円 標準地:5,310万円 |
都市部:4,177万円 標準地:3,982万円 |
増築 | 事業所の定員増に向けた整備 | 都市部:2,790万円 標準地:2,660万円 |
都市部:2,092万円 標準地:1,995万円 |
大規模修繕等 | おおむね10年以上使用した部屋・設備の改修(感染症対策を目的とした改修も対象) | 施設の延べ面積×4,000円 | – |
スプリンクラー設備等整備 | 事業所の防火体制を確立 | 1㎡あたり21,800円 | – |
一般的には次のような申請の流れとなりますが、スケジュールは自治体により異なるので事前に確認しましょう。
<工事を行う前年>
- 2〜5月頃…自治体に相談
- 6〜7月頃…必要書類を提出
<工事を行う年>
- 3月頃…採択結果の通知
- 7月頃…国からの内示通知
- 翌年3月末までに整備工事完了
また、
- 内示通知が出る前に契約・着工した場合
- 内示通知が出た年度内に工事を完了しない場合
は補助の対象外となるので注意してください。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者のITツールの導入費用を助成する制度です。
補助を受けるためには、IT導入補助金公式サイトで公表されている製品の中から選ぶ必要があり、申請はIT導入支援事業者と共同で行います。
補助金には以下の4種類の枠があり、自社の課題やニーズに合ったITツール導入に活用できる「通常枠」では、費用の2分の1、最大450万円を補助してもらえます。
▼IT導入補助金の補助額と補助率
補助額 | 補助率 | |
---|---|---|
通常枠(A類型) | 5~150万円未満 | 2分の1以内 |
通常枠(B類型) | 150~450万円以下 | 2分の1以内 |
デジタル化基盤導入類型 | 50万円以下 | 4分の3以内 |
50万円超~350万円 | 3分の2以内 | |
セキュリティ対策推進枠 | 5~100万円 | 2分の1以内 |
通常枠の申請の流れは以下のとおりです。
行政サービスにログインするため「gBizIDプライム」を取得する必要があります。
<事前準備>
- IT導入支援事業者に相談
- gBizIDプライムの取得
<交付申請>
- ITツールの選定等
- 申請マイページの開設
- 交付申請の作成・提出
- 交付決定
<事業実施>
- ITツール契約・導入
- 事業実績報告の作成・提出
- 補助金の交付
<補助金交付後>
- アフターフォロー
- 事業実施効果報告の作成・提出
なお、交付の決定前にITツールを契約・導入してしまうと、給付の対象外となってしまいますので注意しましょう。
その他の補助金
一部の自治体では、就労継続支援B型を対象とする補助金制度を設けています。
2022(令和4)年は物価高騰の影響を受ける障害福祉サービス事業者に対して「物価高騰緊急対策補助金」を交付する自治体が多く見られました。
年度ごとに制度が変わる可能性があるため、事業所のある自治体にはどのような制度があるのか、確認してみましょう。
就労継続支援B型事業所の開業を検討されている方へ
就労継続支援B型事業所は開業資金が1000万円程度と低く、異業種からでも参入しやすいのがメリットです。
また、利益率40%以上も目指せる収益性の高さと、収入の9割が公金であるという安定性もオーナーにはうれしいところでしょう。
ミライクスでは、就労継続支援B型の研修型開業支援を行っています。
現役の福祉事業経営者から再現性の高いノウハウを学べ、開業後のロイヤリティもないのが特徴です。
さらに、受講生や開業者たちとのコミュニティでは、助成金・補助金の情報交換もできるため、一人で悩まずにすみます。
気になる方は、まずは無料セミナーにご参加ください。
- 「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(厚生労働省)
- 「キャリアアップ助成金」(厚生労働省)
- 「人材開発支援助成金」(厚生労働省)
- 「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」(厚生労働省)
- 「社会福祉施設等整備費(国庫補助事業)について」(大阪府)
- 「社会福祉施設等施設整備費補助金概要(障害福祉関係)」(富山県)
- 「社会福祉施設等施設整備費補助金について」(愛知県)
- 「IT導入補助金2023」(一般社団法人サービスデザイン推進協議会)