事業を運営する
2021.2.14
2023.2.28
福祉事業における従業員の離職の本音とは?

組織に所属している限り、新入社員が入ってくることもあれば、一方で離職者が出てくることは誰しも経験があるかと思います。
そんな中、福祉業界の離職率は他職種の平均より高い業界だと言われています。
この離職率の原因は一体何なのか、施設運営をする立場としてその離職理由をどう解釈して行動に移すべきなのか。
今回は、福祉事業に携わる従業員の離職理由に焦点を当てながら、組織のあり方について考えていきます。
目次
福祉事業の従業員が離職する理由TOP3
福祉事業における退職者は、一体どのようなことを退職理由として挙げているのでしょうか。福祉事業以外の業界にいる退職者とは、退職理由は異なるのでしょうか。
まずは、この退職理由について少し深掘りをしていきます。
マイナビ介護職の調査によると、職員が退職理由にあげる項目TOP3は以下の通りでした。
1位:給料が安い
2位:忙しすぎる
3位:人間関係が悪い
一方、他職種も合わせた退職者全体の結果では、少し意見が異なります。
エン転職の調査では、退職を考えたきっかけに関して以下のような結果が出ています。
1位:給料が安い
2位:やりがい・達成感を感じない
3位:企業の将来性に疑問を感じた
参考:https://corp.en-japan.com/newsrelease/2018/13174.html
これらを照らし合わせて考えられるのは、どの業界においても「給与の低さ」を理由に退職する人は多いということです。
それに加え、福祉業界で働く従業員は忙しさを理由に退職するケースが多いことがわかります。
一方で、仕事自体のやりがいに関しては、一般企業に比べ不満をもつケースが少ないとも言えます。
離職する従業員の本音は?
上記では退職理由をまとめました。しかし、あくまで退職理由については、タテマエで伝える人も多いかと思いますし、退職時に自分の本音を赤裸々に伝えられる人は多くはいないでしょう。
では、実際のところ、退職者の本音はどうなのでしょうか。
コーディアリティケアの調査によると、職場に対する不満の本音について以下のような結果が報告されました。
1位:正当に評価されていない
2位:人員不足
3位:休みが取れない
参考:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2001/23/news056.html
このアンケート結果からは、給与面というよりは「正当な評価が得られていないこと」に対して不満を抱えているということが読み取ることができます。
要するに、先ほど示した退職理由の1位に掲げられていた「給料が安い」という理由は、離職に至った根本的な問題ではないということができるのです。
従業員の不満の根源となっているのは、自分自身が公正・公平に評価されていないと感じている従業員が多いことだということが、これらの結果から推測することができます。
そして、評価に対する不平不満が溜まり、退職してしまうということが、介護・福祉現場の課題点であるというふうに捉えることができるのです。
そもそも「給料が安い」なんて無い
福祉経営ラボの見解としては、「給料が安い」ことが理由で従業員が退職することはあり得ないというふうに考えています。
もちろん、入社前に「給料が低いな」といった不満をもたれることはあるかと思います。
しかし、入社後に「給料が低い」と感じることには、必ずその理由となる問題点が存在すると考えます。
例えば、
- 仕事量が給料に見合わない
- どれだけ頑張っても給料が上がらない
- 自分のキャリアプランが見えない
など。
これらの原因については、従業員自身の問題点だけでなく、組織側として改善する方法があると考えます。
先ほど挙げた問題点に対して、例えば以下のような項目を見直すこともできます。
従業員の不満に対して組織側がチェックすべき項目
・業務量の見直しができているか。・一人一人の従業員のスキルに合わせた給与設定をしているか。
・一人一人の従業員の頑張りに対して、的確な評価を下せているのか。・評価内容が給与設定と紐づいているのか。
・一人一人の従業員の未来を見据えたロードマップを引くことができているのか。
これらはあくまで一例ですが、問題点に対して、組織側が自分ごととして捉え、解決策を考えていくことは非常に大切です。
退職の原因と真摯に向き合い、改善していく
今回は、福祉事業に携わる従業員の退職理由やその本音について触れて解説していきました。
退職理由は、組織運営をする身としては耳が痛い内容のものも中にはあるかと思います。
しかし、退職者の理由や本音には、組織をよくしていくための重要なヒントが隠されていることが多いです。
まずは真摯にその理由と向き合うことから目を背けないでください。
そして、せっかく雇った人材がすぐに辞めない組織をつくる工夫を心がけていきましょう。
次回の記事では、「人材を定着させる」ために必要な取り組みや方法について解説をしていきます。
ぜひこちらも参考にしてみてください。