2021.8.11

2023.2.28

【開業】就労継続支援B型を開設する際におさえるべきポイント

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目次

日本には、障がいをもった人が自分のペースで働ける環境をサポートする「指定障害福祉サービス」があります。その中でも今回は就労継続支援B型について、サービスの概要や開設する際におさえておくべきポイントをご紹介していきます。

就労継続支援B型とは

障がいがあることによって、通常の事業所への就職が困難である人を対象に就労のサポートを行うのが就労支援事業です。就労支援事業には就労移行支援・就労継続支援・就労定着支援の3種類がありますが、就労継続支援B型は就労継続支援のうちの一つに当てはまるサービスとなります。

就労継続支援B型では、通常の事業所雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労ができない障がい者に、就労する機会を提供するサービスとなります。
また、対象者の状態に合わせて就労に必要な知識やスキルの向上を目的とした訓練や支援を受けることも可能となっています。

就労支援事業の図

就労継続支援B型の利用対象者

就労継続支援B型の対象となる人に関しては、以下の通りとなります。

  1. 企業等や就労継続支援A型事業での就労経験がある者で、年齢や体力面で雇用されることが困難となった者
  2. 50歳に達している者または障害基礎年金1級受給者
  3. 1および2に該当しない者で、就労移行支援事業者によるアセスメントにより、就労面に関する課題等の把握が行われている者
  4. 障害者支援施設に入所する者について、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案の作成の手続きを経た上で市町村により利用の組み合わせの必要性が認められた者

対象者に関しては、障害手帳を持っていない場合でも医師の診断などによっては利用が可能な場合もあります。

各自治体によって細かな基準は異なりますので、どういった人が対象となるのかは開業を考えている自治体にチェックしておくことをお勧めします。

就労継続支援A型とB型の違い

同じ就労継続支援でも、A型とB型の2種類が存在します。これらの違いについて整理していきます。

就労継続支援A型の特徴

就労継続支援A型では、通常の事業所に雇用されることが困難ではありますが、雇用契約に基づく就労が可能である障がい者が対象となります。

雇用契約に基づく就労をしながら一般就労を目指すことが目的となり、最低賃金以上の給与が支払われます。

また、一般就労に向けて、必要な知識やスキル向上のために適宜訓練や支援を行うこともサービスの範囲内です。

就労継続支援B型の特徴

就労継続支援B型では、通常の事業所に雇用されることが困難であり、かつ雇用契約に基づく就労も困難である障がい者が対象となります。

まずは就労の機会や生産活動の機会を提供することにより、就労継続支援A型での雇用や一般就労を目指していくのがB型の特徴です。

また、就労継続支援A型や一般就労に向けて、必要な知識やスキル向上のために訓練や支援を行うこともサービスの範囲内となります。

まとめると、A型や一般就労に向けた支援を受ける必要のある障がい者が対象となるのがB型であり、雇用契約に基づく就労は可能だが一般就労は難しい障がい者が対象となるのがA型となります。

就労継続支援A型とB型の違いの説明

就労継続支援B型 開設時の基準

実際に就労継続支援B型を開設する際には、国や各自治体が定めた基準を満たした施設運営が必要となります。

それら各基準について詳しくみていきます。

法人基準

開業する際には法人でなければいけません。

法人の種類に関しては、株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人、特定非営利活動法・社会福祉法人等いずれの法人でも問題はありません。

ただし、どの法人でも法人定款等に「障がい者総合支援法に基づく障害福祉サービス」等と記載することが必要です。

人員基準

施設を運営する際の人員配置の基準は以下の通りとなります。

  • 管理者:1名以上(支障がない限り、管理者は他職種と兼務が可能)
  • サービス管理責任者:1名以上(60名以下の場合)
  • 生活指導員:定員数÷7.5/10名(常勤換算)
  • 職業指導員:定員数÷7.5/10名(常勤換算)

設備基準

施設を運営する際の設備配置基準としては、以下の通りとなります。

  • 訓練指導室:サービス提供時に支障が出ない広さの室内を確保する。また、利用者の人数やニーズに合わせた機械や器具を備えていること。
  • 相談室:机は最低1卓以上、椅子は最低4脚以上を備えること。また、相談室についてはプライバシーを確保できる空間であることが必要。
  • 多目的室:多目的室に関しては、相談室と兼用することを認める。
  • 洗面所、トイレ:利用者の特性にあわせた構造になっていることが必要。また、洗面所に関しては必ずトイレと独立したものである必要があり、兼用は不可である。
  • 事務室:職員が業務を遂行するにあたり問題のないスペースを確保し、かつ備品を整えていることが必要である。

運営基準

運営にあたり必要とされる基準として、他には以下のような項目が挙げられます。開設を考えている各自治体に事前に確認を取り、情報の漏れがないようにしておきましょう。

  • 事業の目的と運営方針
  • 営業日と営業時間
  • 利用定員
  • サービス利用にあたっての注意事項
  • 災害対策
  • 緊急時等の対応策
  • 虐待防止のための措置に関する事項
  • その他運営に関する重要事項 など

就労継続支援B型の報酬算定構造

令和3年度より、就労継続支援B型の報酬算定構造が変更されました。

平均工賃額に応じた報酬体系と、利用者の就労や生産活動への参加いずれかを選択する形式で報酬体系が変わる仕組みとなっています。

平均工賃額に応じた報酬体系

定員20名以下(利用者:職員=7.5:1)

平均工賃 報酬単価
45,000円以上 702単位/日
35,000円〜45,000円未満 672単位/日
30,000円〜35,000円未満 657単位/日
25,000円〜30,000円未満 643単位/日
20,000円〜25,000円未満 631単位/日
15,000円〜20,000円未満 611単位/日
10,000円〜15,000円未満 590単位/日
10,000円未満 566単位/日

利用者の就労や生産活動等への参加を一律に評価する報酬体系

平均工賃 報酬単価
定員20名以下(利用者:職員=7.5:1) 556単位/日
地域協働加算(※1) 30単位/日
ピアサポート実施加算(※2) 100単位/日

※1:利用者の多様な働く意欲に応えつつ、就労を通じた地域での活躍の場を広げるために地域や地域住民と協働した取り組みを実施する事業所を評価する制度
※2:就労を続ける上での不安解消、生産活動の実施に向けた意欲向上などへの支援を充実させるためにピアサポートによる支援を実施する事業所を評価する制度

参照:令和3年度障害福祉サービス等報酬改定 における主な改定内容.pdf(厚生労働省)

就労継続支援B型を開設しましょう

今回は就労支援事業のうち「就労継続支援B型」の概要や開設時におさえておくべき項目をご紹介しました。

就労継続支援B型は、放課後等デイサービスの開業と並行して開業される経営者の方も多いです。

また、就労支援事業は、働きたくてもなかなか働けない、継続して就労できないといった悩みをもつ人をサポートし、地域社会を支えることができるやりがいあるサービスです。

比較的参入しやすく、かつ地域社会に貢献できる就労継続支援B型事業。福祉サービスの開業に興味をもたれているのであれば、ぜひ前向きに開業を検討してみてください。

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