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2023.6.8
2023.5.29
【2023年度版】放課後等デイサービスの人員配置基準を徹底解説!
2023年2月現在、放課後等デイサービスの人員配置基準は令和3年度(2021年度)障害福祉サービス等報酬改定に基づく内容となっています。
障害児への手厚い支援を評価する報酬体系に見直されており、主な改定内容は以下のとおりです。
- 基本報酬について、従来の区分分けを一本化した上で医療的ケア児の区分を新設
- 専門的支援加算の新設
- 従業者の要件から障害福祉サービス経験者を廃止
2021年度の報酬改定から人員基準が厳しくなり、質の高い支援を求められているのが特徴です。
この記事では、放課後等デイサービスの人員配置基準や関連する加算・減算、放課後等デイサービスの開業後の経営をサポートする助成金について解説します。
目次
放課後等デイサービスの人員配置基準は?
放課後等デイサービスでは、管理者を含めて最低2名以上の常勤職員と1名以上の常勤もしくは非常勤職員の配置が必須です。
一般的な放課後等デイサービス事業所の人員配置基準を紹介します。
▼放課後等デイサービスの人員配置基準の例
職種 | 配置人数 | 常勤要件 | 備考 |
---|---|---|---|
管理者 | 1人以上 | なし | 管理業務に支障がなければ児発管など他の職務と兼務できる |
児童発達支援管理責任者(児発管) | 1人以上 | あり | 1人以上は常勤かつ専従 |
児童指導員または保育士 | 定員10名以内の事業所は2名以上 | あり |
|
機能訓練担当職員 | - | - | 機能訓練を行う時間帯のみ配置 |
看護職員 | - | - |
|
※主に重症心身障害児(重心児)を受け入れる放課後等デイサービスの場合は、嘱託医・機能訓練担当職員・看護職員それぞれ1人以上の配置が必須
管理者・児童発達支援管理責任者は事業所ごとに1人以上配置すればよく、担当業務に支障がなければ不在の時間帯・日があっても問題ありません。
一方、児童指導員または保育士は、たとえ利用人数がゼロであってもサービス提供時間内は定員ごとに決められた人数を配置する必要があります。
そのほか、放課後等デイサービスで機能訓練を行う場合は、訓練の内容に応じた以下の専門職を配置する必要があります。
ただし、機能訓練を行う日・時間帯だけ配置すれば問題ありません。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 心理指導担当職員(臨床心理士・公認心理師・臨床発達心理士)
- 常勤
-
常勤とは、事業所が定める所定労働時間と同じ時間数を勤務することです。
一般的にはフルタイムで働く職員が該当しますが、雇用契約上の「常勤・非常勤」とは異なります。
したがって、会社・法人としては常勤の雇用契約を結んでいても、複数の事業所をまたいで兼務する場合にはそれぞれの事業所で非常勤扱いとなるのでご注意ください。
- 専従
- 専従とは決められた時間帯において担当職種の業務に専念することです。
- 兼務
- 兼務とは2つの職種を同時並行的に従事することで、放課後等デイサービスの管理者の場合だと児童発達支援管理責任者・児童指導員・保育士いずれかの兼務が認められています。
- 兼務
- 兼務とは2つの職種を同時並行的に従事することで、放課後等デイサービスの管理者の場合だと児童発達支援管理責任者・児童指導員・保育士いずれかの兼務が認められています。
管理者
▼管理者の概要
配置人数 | 1人以上 |
---|---|
勤務形態 | 常勤でなくても差し支えない |
資格要件 | なし |
兼務可否 | 管理業務に支障がなければ可能 |
管理者とは放課後等デイサービス事業所を統括し、運営基準を遵守させるために必要な指揮命令を行う職種で、最低でも1人の配置が必要です。
利用者が快適に過ごせる環境づくりをはじめ、職員の育成や事業所の労務管理を担当します。
利用者や保護者への相談援助や、苦情が発生した場合には最終責任者として解決にあたります。
管理者には常勤要件が指定されていないため、非常勤の管理者を配置しても問題ありません。
しかし、管理者には児童発達支援管理責任者など別の職種との兼務が認められている関係で、常勤の管理者を配置する事業所が多いです。
- 事業所の管理業務に支障がなければ、同じ事業所の児童発達支援管理責任者・児童指導員・保育士と兼務できる
- 同じ法人が運営する別の事業所の場合は、同一敷地内または道路を隔てて隣接した事業所なら職種・事業を問わず兼務できる
管理者になるために必須となる資格はありませんが、相談援助に携わる場面が想定されるため社会福祉主事任用資格があれば福祉に関する基礎知識があると対外的に認められやすいでしょう。
なお、大学・短期大学で社会福祉に関する科目を3科目以上修得して卒業していれば、社会福祉主事任用資格を得られます。
児童発達支援管理責任者
▼児童発達支援管理責任者の概要
配置人数 | 1人以上 |
---|---|
勤務形態 | 最低でも1名は常勤・専任 |
資格要件 | あり(実務経験要件・研修修了要件) |
兼務可否 | 管理者のみ兼務可能 |
児童発達支援管理責任者とは、個別支援計画の作成・見直しや放課後等デイサービスを利用する障害児・保護者への相談援助、サービスを提供する職員への技術的指導を行う職種です。
最低でも1人は専任かつ常勤している必要がありますが、管理者との兼務は認められています。
▼児童発達支援管理責任者が行える兼務
管理者との兼務 | 児発管との兼務 | その他の職種との兼務(※1) | |
---|---|---|---|
同一事業所内 | ○ | — | × |
多機能型事業所 | ○ | — | × |
同じ法人の別事業所 (同一敷地内または隣接するもの、※2) |
○ | ○ 非常勤のみ |
× |
※1 手伝いは可能ですが、児童指導員等の人数にはカウント不可となります。
※2 自治体によっては別ルールがある場合があるため、詳細は事業所を管轄する自治体にご確認ください。
また、個別支援計画の作成にあたっては、利用者や保護者と面談して日常生活や学校生活などの課題を把握し(アセスメント)、利用者の健全な発達を支援する具体的なプランを立てていきます。
個別支援計画を作成した後も、利用者の発達度合いや支援状況を定期的にモニタリングした上でプランを見直していきます。
児童発達支援管理責任者になるには、実務経験を満たした上でサービス管理責任者等研修の基礎研修・実践研修の修了が必須となります。
実務経験と認定される業務内容や事業所・施設については細かなルールがあるため、詳しくは事業所を管轄する自治体の障害福祉課へご確認ください。
▼児童発達支援管理責任者の実務経験要件
区分 | 経験年数 | 主な業務内容・保有資格 |
---|---|---|
相談支援業務 | 5年以上かつ900日以上 | 日常生活の自立に関する相談・助言指導など |
直接支援業務 | 8年以上かつ1,440日以上 | 生活能力の向上に必要な訓練など |
有資格者 | 5年以上かつ900日以上 | 児童指導員としての直接支援業務など |
国家資格者 | 5年以上かつ900日以上 | 社会福祉士や理学療法士・看護師など |
▼サービス管理責任者等研修の種類と受講条件
研修の種類 | 受講条件 | 主な内容 |
---|---|---|
基礎研修 | 実務経験を満たす2年前から受講可能 | 児童発達管理責任者としての基本姿勢やサービス提供に関する基本的な考え方 |
実践研修 | 基礎研修を修了して2年以上の実務経験が必要 | モニタリング・人材育成の手法や個別支援会議の運営方法、多職種連携・地域連携に関する事例研究 |
更新研修 | 児童発達支援管理責任者になった後、5年ごとに1度受講 ※受講を忘れると実践研修の再受講が必要となる |
児童福祉に関する最新動向の確認やサービス提供に関する自己検証・スーパービジョンに関する理解 |
基礎研修を修了した後は、実践研修を受講する前でも個別支援計画の原案を作成できるようになります。
さらにOJTの一環として、基礎研修修了者を2人目以降の児童発達支援管理責任者として配置できます。
児童発達支援管理責任者(児発管)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご確認ください。
児童指導員または保育士
▼児童指導員または保育士の概要
配置人数 | 定員10名まで:2人以上 定員11〜15人:3人以上 定員16〜20人:4人以上 定員21〜25人:5人以上 ※定員が5人増えるごとに1人加える(定員:配置人数=5:1の割合) ※総配置人数の半数までであれば、機能訓練担当職員、看護職員を合計数に含めてもOK |
---|---|
勤務形態 | 1人以上は常勤 |
資格要件 | あり(児童指導員任用資格・保育士資格) |
他の職務との兼務 | 管理者のみ可能 |
児童指導員または保育士は、個別支援計画に基づいて利用者の障害特性や生活環境・発達に関する課題に配慮しながら支援を行う職種です。
保護者や学校などと情報共有する場面も少なくありません。
児童指導員または保育士については、事業所として最低1名以上の常勤者を配置する必要があります。
利用人数が少ない時間帯であっても、定員に見合った児童指導員または保育士の配置が必要です。
ただし、災害や虐待などやむを得ない事情で定員を超えて利用者を受け入れる場合は、受け入れ人数に応じた配置人数に変わるのでご注意ください。
非常勤の児童指導員または保育士だけでもサービス提供は可能ですが、緊急時の対応を考えると事業所に管理者または児童発達支援管理責任者がいる状態にしておくのが望ましいでしょう。
また、児童指導員または保育士は、同じ法人が運営する別の事業所だけでなく、他の事業所でも児童指導員または保育士として勤務できます。
双方の事業所で副業が認められていれば、A事業所では常勤・B事業所では非常勤といった働き方も可能です。
- 別職種による兼務・サポート
-
事業所の管理者であれば、同じ事業所で児童指導員または保育士を兼務できます。
児童発達支援・放課後等デイサービスの多機能型事業所の場合も同様です。
そのほか、機能訓練担当職員や看護職員も、空き時間に児童指導員や保育士と一緒に直接支援を行えます。
この場合は、直接支援を担当する職員の半数以上が児童指導員または保育士である必要があります。
機能訓練担当職員や看護職員を含めてシフトを組む際は、機能訓練や看護に支障が出ないよう配慮が必要です。
- 児童指導員の任用資格
-
児童指導員になるには、以下のいずれかの資格が必要です。
児童指導員の資格があるかどうかは、事業所の管理者や法人の代表者が資格者証や免許状・学位記・卒業証書、実務経験証明書を見て確認します。
▼児童指導員の任用資格
国家資格者 社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っている人 教員免許の保有者 幼稚園または小学校・中学校・高等学校の教員免許を持っている人(種類や更新有無は問わない) 大学・大学院の卒業者 社会福祉学または心理学・教育学・社会学を専攻する学科を卒業した人(海外の大学を含む) 高校卒業者 児童福祉事業で2年以上の実務経験がある人 その他 児童福祉事業で3年以上の実務経験があり、都道府県知事が適当と認めた人(実務上は、実務経験証明書が整っていれば児童指導員として任命可能)
2021(令和3)年度の障害福祉サービス等報酬改定では、障害福祉サービス経験者が従業者から除外されました。
居宅介護や移動支援などで障害児の支援経験がある場合でも、実務経験としてカウントできない点に注意が必要です。
放課後等デイサービスの人員配置と報酬の関係は?
放課後等デイサービスの報酬は利用者1人ごとに発生する基本報酬と、算定要件を満たせば得られる「加算」や要件未達の場合に適用される「減算」で構成されています。
加算には、利用者の支援強化や事業所の専門性向上をサポートするねらいがみられます。
一方、減算には人員基準・運営基準違反に対するペナルティという意味合いがあり、減算をきっかけに実地指導や監査の対象になる可能性がある点に注意が必要です。
報酬額は厚生労働省が定めた単位によって計算され、1単位の単価は10円~11.20円(主に重症心身障害児を受け入れる事業所の場合は11.52円)で、地域ごとに8つの区分に分かれています。
ちなみに、放課後等デイサービス事業所の売上のうち約9割が、国や自治体からの公費です。
人員配置基準に関連する加算・減算の要件や単位数について、具体的に解説していきます。
児童指導員等加配加算
児童指導員等加配加算とは、児童指導員・保育士をはじめ利用者を直接支援する職種を人員基準より多く配置した場合に算定できる加算です。
人員配置にゆとりを持たせることで利用者に目が行き届き、より効果的な支援を行えます。
さらに、理学療法士などの専門職による支援を加えることで、利用者の心身・障害の状況に合わせた支援も可能になります。
対象となる職種と加算される単位数は、以下のとおりです。
▼一般的な放課後等デイサービスでの児童指導員等加配加算の単位数
加配の区分 | 単位 | 従業者の種別 |
---|---|---|
理学療法士等 (専門職員) |
187単位 |
|
児童指導員等 | 123単位 |
|
その他の従業員 | 90単位 |
|
※定員10人以下の場合
児童指導員等加配加算は、児童指導員等を人員基準より常勤換算で1.0人以上多く配置していれば算定可能です。
1日あたりの加配人数が常勤換算で1.0人以上であれば他職種の勤務時間を通算できます。
1日8時間サービスを提供する事業所の例だと、午前中の3時間は理学療法士を配置し、午後の5時間は言語聴覚士を配置するといった人員計画も可能です。
- 常勤換算
-
常勤換算とは、フルタイムで働く職員を1人分として、事業所に所属する職員の勤務時間の合計が何人分にあたるかを計算する方法です。
事業所で定めた1週間あたりの所定労働時間を基準にカウントしますが、週の所定労働時間が32時間未満の場合は32時間とみなします。
週の所定労働時間が40時間の事業所を例にすると、週10時間勤務する非常勤の児童指導員が4人いれば常勤の児童指導員1人分としてカウントします(週10時間×4人=延べ40時間)。
ただし、同一法人が運営する複数の事業所で勤務する場合など、雇用契約上では常勤でも常勤換算では非常勤と取り扱う場合があるのでご注意ください。
専門的支援加算
専門的支援加算とは、人員配置で定められた児童指導員または保育士に加え、理学療法士などの専門職を常勤換算で1.0人以上配置した場合に算定できる加算です。
利用者や保護者のニーズが多様化する中、放課後等デイサービスで機能訓練を実施できれば収益増はもちろん地域への質の高いサービスを訴求できるでしょう。
なお、事業所としては児童指導員等加配加算との同時算定は可能ですが、専門的支援加算を算定した従業者については児童指導員等加配加算を算定できません。
▼一般的な放課後等デイサービスでの専門的支援加算の単位数
加配の区分 | 単位 | 従業者の種別 |
---|---|---|
理学療法士等 (専門職員) |
187単位 |
|
※定員10人以下の場合
福祉専門職員配置等加算
福祉専門職員配置等加算とは、国家資格者などの豊かな経験と知見を活かして利用者を支援する事業所が算定できる加算です。
児童指導員または保育士の総数に占める国家資格者などの割合に応じて単位数は変わります。
▼福祉専門職員配置等加算の単位数と算定要件
加算区分 | 単位 | 算定要件 |
---|---|---|
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) | 15単位 | 常勤の児童指導員等のうち、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・公認心理師の有資格者が35%以上 |
福祉専門職員配置等加算(Ⅱ) | 10単位 | 常勤の児童指導員等のうち、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・公認心理師の有資格者が25%以上 |
福祉専門職員配置等加算(Ⅲ) | 6単位 | 常勤の児童指導員・保育士が75%以上または、勤続3年以上の児童指導員・保育士が30%以上 |
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)・(Ⅱ)と福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)の常勤者の割合は、実際の人数をもとに計算します。
一方、勤続3年以上の職員の割合は常勤換算方式で計算するため、加算を算定する際は計算間違いにご注意ください。
2021(令和3)年度の報酬改定ではケアニーズの高い障害児や虐待等に伴い保護・支援が必要な障害児に対する個別支援について評価する「個別サポート加算」が新設されています。
それに伴い、社会福祉士・介護福祉士などの専門職のニーズが今度高まる可能性があります。
社会福祉士や公認心理師などの心理指導担当職員は、利用者や保護者等の相談援助を通じて支援の品質を高めていく存在です。
介護福祉士は障害の度合いに応じた身体的介護を通じて、放課後等デイサービスで快適に過ごすサポートを実施します。
さらに、常勤あるいは勤続年数の長い児童指導員・保育士は、これまでの支援経験を他の職員に展開することで持続的な放課後等デイサービス事業所の経営に寄与できるでしょう。
定員超過利用減算
定員超過利用減算とは、やむを得ない事情がないにもかかわらず運営規程に定める定員を超えて利用者を受け入れると適用される減算です。
利用者全員分の所定単位数の70%を算定するルールとなっており、売上としては3割減少します。
▼1日あたりの利用実績による減算条件
利用定員50人以下 | 定員の150%を超過している場合 例:定員10人の場合は受け入れ人数が15人を超えると減算 |
---|---|
利用定員51人以上 | 「(定員-50)×125%+75」の式で計算した人数を超過している場合 例:定員60人の場合は、(60-50)×125%+75=88人を超えると減算 |
▼過去3ヶ月間の平均利用実績による減算条件
利用定員11人以下 | (定員+3)の式で計算した人数を超過している場合 例:定員10名の場合は、1日平均の利用者数が13人を超えると減算 |
---|---|
利用定員12人以上 | 定員の125%を超過している場合 例:定員20人の場合は、1日平均の利用者数が25人を超えると減算 |
やむを得ない事情とは主に以下の内容をいいますが、定員以上の利用者を受け入れる前に自治体に相談して助言を得るのもひとつの方法といえます。
- 災害に伴い、別の事業所の利用者を受け入れた
- 虐待により保護が必要と判断した
- 周辺の事業所が満員のため、定員超過せざるを得なかった
やむを得ず定員を超えて利用者を受け入れることになった場合は、理由を確認できるよう詳しい記録を残しておくことが大切です。
記録が不十分だと実地指導等で指摘を受けた際に報酬の過誤調整が必要となるなど、事業所の運営にとってデメリットになる懸念があります。
サービス提供職員欠如減算
サービス提供職員欠如減算とは、人員配置基準を満たさないまま事業所の運営を続けた場合に適用される減算です。
事業所の指定基準にかかわる内容のため、減算は利用者全員に適用されます。
▼減算期間
|
人員不足が生じた翌々月から解消されるまでの間 |
---|---|
人員基準の1割を超える欠如 | 人員不足が生じた翌月から解消されるまでの間 |
▼減算率
減算適用1ヶ月~2ヶ月目 | 所定単位数の70%を算定(30%減) |
---|---|
減算適用3ヶ月目以降 | 所定単位数の50%を算定(50%減) |
人員欠如の状態が3ヶ月以上続くと、得られる報酬が半減します。
加えて、人員欠如の解消に向けて自治体から指導を受けますが、人員欠如が解消されなければ事業所の休止等の勧告を受けることになります。
状況によっては事業所指定の取り消しも考えられるため、退職や長期欠勤等を考慮した人員計画を立てておくのが円滑に事業所を運営するポイントです。
児童発達支援管理責任者欠如減算/個別支援計画未作成減算
児童発達支援管理責任者欠如減算とは、常勤・専従の児童発達支援管理責任者が在籍しないままサービスを提供した場合に適用される減算です。
サービス提供職員欠如減算とは一緒に適用されませんが、個別支援計画が未作成の状態だと個別支援計画未作成減算も一緒に適用されます。
複数の減算事由に該当すると、それぞれの減算率を掛け合わせて算定報酬を計算することになります。
その結果、売上の大幅減少を余儀なくされるだけでなく実地指導や監査を受けるきっかけにもなるので人員不足には要注意です。
▼児童発達支援管理責任者欠如減算の減算率
減算適用1ヶ月~4ヶ月目 | 所定単位数の70%を算定(30%減) |
---|---|
減算適用5ヶ月目以降 | 所定単位数の50%を算定(50%減) |
▼個別支援計画未作成減算の減算率
減算適用1ヶ月~2ヶ月目 | 所定単位数の70%を算定(30%減) |
---|---|
減算適用3ヶ月目以降 | 所定単位数の50%を算定(50%減) |
▼児童発達支援管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算が同時適用された場合の減算率
減算適用1ヶ月~2ヶ月目 | 所定単位数の49%を算定(51%減) |
---|---|
減算適用3ヶ月~4ヶ月目 | 所定単位数の35%を算定(65%減) |
減算適用5ヶ月目以降 | 所定単位数の25%を算定(75%減) |
重症心身障害児を受け入れる放課後等デイサービスの人員配置基準は?
主に重症心身障害児(重心児)を受け入れる放課後等デイサービス事業所では、医療的ケアや身体的な介護の必要性から一般の事業所とは異なる人員配置基準が定められています。
▼重症心身障害児を受け入れる放課後等デイサービスの配置基準の例
職種 | 配置人数 | 常勤要件 | 備考 |
---|---|---|---|
管理者 | 1人以上 | なし | 管理業務に支障がなければ児童発達支援管理責任者や児童指導員・保育士と兼務可能 |
児童発達支援管理責任者 | 1人以上 | なし | 管理者以外との兼務は不可 |
児童指導員または保育士 | 1人以上 | なし | 生活介護との多機能型事業所の場合は生活支援員と読み替え可能 |
機能訓練担当職員 | 1人以上 | なし | 機能訓練を行う時間帯のみの配置で可 |
看護職員 | 1人以上 | なし | サービス提供時間中は専従が必須 |
嘱託医 | 1人以上 | なし | 他の医療機関や事業所等との兼務可能 |
どの職種も常勤要件が設けられていない一方で、看護職員や児童指導員または保育士についてはサービス提供時間中を通して1名以上の専従が必要です。
機能訓練担当職員も原則としてはサービス提供時間中の専従が必要ですが、機能訓練を行う時間だけ配置しても問題ありません。
なお、重症心身障害児へ一貫した支援を提供できるよう、放課後等デイサービス・児童発達支援と生活介護を多機能型事業所として運営する場合は、児童指導員または保育士を生活支援員と読み替える扱いがなされています。
障害児の成長を長期にわたって支援できるのはもちろん、柔軟に事業所を運営できるよう配慮されているのが特徴です。
重症心身障害児を主な対象とする放課後等デイサービスについてはこちらの記事でさらに詳しく解説しています。
放課後等デイサービスの雇用を支える助成金は?
放課後等デイサービス事業所を開業した後は、所定の要件を満たせば国の雇用関係助成金を申請できます。
職員のキャリアアップや事業所の労働環境の改善に必要な費用の一部が助成されることで、職員の安定雇用を目指せるのがメリットです。
ただし、開業当初は助成金を申請できないのでご注意ください。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、パートタイマーや派遣労働者など非正規雇用労働者の処遇改善を実現した企業が申請できる助成金です。
キャリアアップ助成金では、企業が取り組む内容に応じて以下のようにコース分けがなされています。
▼キャリアアップ助成金のコース
コース名 | 主な申請条件 |
---|---|
正社員化コース | 6ヶ月以上雇用している有期雇用・無期雇用契約者を正社員に転換する |
賃金規定等改定コース | 有期雇用労働者等の基本給を2%以上増額改定する |
賃金規定等共通化コース | 正社員と賃金規定を共通化した上で有期雇用労働者等に適用する%減) |
賞与・退職金制度導入コース | 有期雇用労働者等を対象にした賞与・退職金制度を導入する(どちらか一方でも可) |
短時間労働者労働時間延長コース | 週の所定労働時間を延長した上で社会保険の被保険者にする |
正社員化コースと賃金規定等共通化コースについては、2022年12月2日から制度が拡充され、対象者1人あたりの助成金も増額されています。
特に正社員化コースは1人あたりの助成額が最大68万円と高く、事業所全体のレベルアップにも効果を発揮するので放課後等デイサービス事業所にはおすすめです。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、職務に関連した専門的な知識・技術を修得させる訓練を計画的に実施した企業が申請できる助成金です。
訓練の時間数や対象者に応じてコース分けされています。
- 事業展開等リスキリング支援コース
- 新事業を展開するために、職員に教育訓練を実施する
- 特別育成訓練コース
- 非正規雇用の職員の待遇改善や正社員改善を目標に教育訓練を実施する
- 人への投資促進コース
- 職員が自発的に受講した教育訓練の費用を負担した企業に、その一部を助成
- 特定訓練コース
- 特定のテーマを決めて10時間以上の教育訓練を実施する
各コースで対象者1人あたりの助成限度額は設定されているものの、研修費用の一部が助成されるため、職員の支援技術の向上を目指したい事業所は申請を検討してみましょう。
なお、キャリアアップ助成金との併給も可能ですが、調整等の条件については最寄りの労働局にご確認ください。
放課後等デイサービスの今後は?
放課後等デイサービスでは、障害児の心身の状態や特性に応じた支援を行うと共に放課後の居場所を提供しています。
多様化・専門化するニーズに対応するために支援の質向上に取り組む事業所が多い反面、一部では学習支援・習い事といった障害児の発達支援とは言いがたいサービスを提供する事業所も見られるのが実情です。
適切かつ効果的な発達支援・自立支援の促進を視野に、厚生労働省の「障害児通所支援に関する検討会」では放課後等デイサービスの再編について協議されています。
2024(令和6)年4月に障害者総合支援法の改正法が施行されるのに合わせて、総合支援型と特定プログラム特化型(共に仮称)へ再編される予定です。
運動や芸術分野などに療育の考え方を取り入れている事業所もあり、今後は独自性・専門性による事業所の差別化が見込まれます。
それに伴い、理学療法士や作業療法士・言語聴覚士などの専門職の需要が高まると考えられるでしょう。
優れた人材を確保して安定した事業所経営を目指すには、開業の準備段階から各種加算の算定を前提とした人員戦略を立てることが重要です。
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参考文献・URL
- 「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定について」(厚生労働省)
- 「指定障がい児支援事業者関係 常勤・非常勤・専従・兼務に関する考え方」(福岡市)
- 「障害児通所支援事業所の職員の資格要件等」(広島県)
- 「心理指導担当職員の取扱いについて」(千葉県)
- 「放デイ運営フォローアップ~ホウデイノトリセツ~ 第4回 利用定員・勤務体制」(神戸市)
- 「障害福祉現場の人材確保・業務効率化について≪論点等≫」(厚生労働省)
- 「管理者兼務要件一覧」(札幌市)
- 「障害児通所支援にかかる事業者の指定申請等について 指定申請の手引き」(名古屋市)
- 「社会福祉主事任用資格の取得方法」(厚生労働省)
- 「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の要件等」(兵庫県)
- 「サービス管理責任者等研修実施要綱」(北海道)
- 「児童指導員等加配加算・専門的支援加算について」(福岡市)
- 「福祉専門職配置等加算の算定要件について(通知)」(福岡市)
- 「定員超過利用減算の対象(一覧表)」(愛知県)
- 「サービス提供職員欠如減算(人員欠如減算)等について」(岡崎市)
- 「基準の人員配置について<放課後等デイサービス・児童発達支援事業所>」(福岡市)
- 「重心型事業所における機能訓練担当職員の配置に関する考え方」(福岡市)
- 「障害児通所支援指定申請の手引き」(豊橋市)
- 「雇用・労働キャリアアップ助成金」(厚生労働省)
- 「人材開発支援助成金」(厚生労働省)
- 「【資料1】児童発達支援・放課後等デイサービスの主な検討事項(案)について」(厚生労働省)