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2023.11.12
2023.10.25
障害者総合支援法とは?サービスや対象者についてわかりやすく解説
障害者総合支援法とは、障害者と障害児への総合的な障害福祉サービスについて定められた法律です。
2006(平成18)年に施行された「障害者自立支援法」から名前を変え、2013(平成25)年に施行されました。
全ての障害者及び障害児が、身近な地域で日常生活や社会生活を営むための支援を受けられる現在の障害福祉サービスは、この障害者総合支援法に基づいて提供されています。
この記事では障害者総合支援法について、改正の経緯やサービスの内容、利用申請の流れ、2024(令和6)年4月に施行される改正案などについて、わかりやすく解説しています。
目次
障害者総合支援法とは?
障害者総合支援法とは、正式名称を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」といい、障害者と障害児への総合的な障害福祉サービスについて定めた法律です。
>>「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(e-GOV法令検索)
従来の「障害者自立支援法」を改正する形で2012(平成24)年6月に成立し、2013(平成25)年4月1日に施行されました。
障害者総合支援法の目的・理念
障害者総合支援法は、
- 障害者と障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活または社会生活を営めること
- 障害の有無に関わらず国民が安心して暮らせる地域社会の実現に寄与すること
を目的としています。
障害者総合支援法では、次のような基本理念も創設されました。
- 全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される/li>
- 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する/li>
- 全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられる/li>
- 社会参加の機会が確保される/li>
- どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられない/li>
- 障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資する
出典:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」第一条の二(e-COV法令検索)
障害者総合支援法の対象者
障害者総合支援法における「障害者」とは
- 身体障害のある18歳以上の方(身体障害者福祉法第4条)
- 知的障害のある18歳以上の方(知的障害者福祉法)
- 精神障害(発達障害を含む)のある18歳以上の方(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条、発達障害者支援法第2条第2項)
- 18歳以上の難病患者のうち、障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である方
をいいます。
また「障害児」とは、
- 身体に障害のある児童
- 知的障害のある児童
- 精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
- 難病患者のうち、障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である児童
をいいます。
難病とは治療方法が確立していない病気やその他の特殊な病気を指し、2021(令和3)年11月時点で366の病気が対象です。
出典:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」第四条(e-GOV法令検索)、「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)の見直しについて」(厚生労働省)
障害者総合支援法が制定された背景
障害者総合支援法が制定されるまでの障害福祉政策の流れを簡単にまとめると、次の通りとなります。
▼障害者総合支援法制定までの流れ
年 | できごと | ポイント |
---|---|---|
2003(平成15)年 | 支援費制度の導入 |
次のような点が問題になった
|
2006(平成18)年 | 障害者自立支援法の施行 |
|
2013(平成25)年 | 障害者総合支援法の施行 | 基本理念が規定され、障害者の範囲の見直しなどが行われた |
戦後、日本の社会福祉サービスは行政主導による「措置制度」という仕組みによって支えられてきましたが、2003(平成15)年に支援費制度に移行しました。
支援費制度は、ノーマライゼーションの理念に基づいて導入されました。
ノーマライゼーションとは「障害のある人もない人も、共に地域で生き生きと暮らしていける社会を目指す」という考え方です。
ノーマライゼーションの理念に基づいた支援費制度では、利用者と事業者が対等な関係となり、契約によってサービスを利用する仕組みなどが導入されました。
しかし、障害種別による縦割りサービスや、地方自治体によってはサービスの提供体制に不備があるといった問題点がありました。
そこで、「利用者本位のサービス体系」や「サービス提供主体の一元化」など、支援費制度の問題点を解決した障害者自立支援法が2006(平成18)年に施行。
さらに2013(平成25)年には、地域社会での共生の実現に向けた障害者総合支援法が施行されました。
障害者総合支援法と障害者自立支援法の違い
障害者総合支援法と障害者自立支援法には次のような違いがあります。
▼障害者総合支援法と障害者自立支援法の違い
障害者総合支援法 2013(平成25)年施行 |
障害者自立支援法 2006(平成18)年施行 |
|
---|---|---|
基本理念 | あり | なし |
対象 | 難病患者を含む | 難病患者を含まない |
区分 | 障害支援区分 | 障害程度区分 |
重度訪問介護の対象 | 行動障害のある重度の知的障害者・精神障害者を含む | 重度の肢体不自由のある身体障害者のみ |
障害者総合支援法では、基本理念を新たに掲げて、障害者のある人が身近な地域で日常生活や社会生活を営むための支援を受けられることを明確にしました。
障害者の範囲も見直されて難病患者も対象となり、区分も障害の程度(重さ)から、必要とされる支援の度合いに変更、重度訪問介護の対象も拡大されました。
障害者総合支援法の改正頻度
障害者総合支援法は、支援サービスや支給決定のあり方などについて、法律の施行後3年を目途に検討が行われ、必要な措置が講じられます。
これまで2018(平成30)年、2021(令和3)年に改正が行われました。
主な改正のポイントは次のとおりです。
▼障害者総合支援法の改正のポイント
年度 | 改正の主なポイント |
---|---|
2018(平成30)年 |
<地域生活の支援>
<障害児支援>
<サービスの質の確保・向上>
|
2021(令和3)年 |
<障害者の重度化や高齢化を踏まえた支援>
<相談支援の質の向上>
<効率的な就労支援>
<障害児支援の充実>
<感染症や災害への対応力強化>
|
障害者総合支援法に基づくサービスとは?
障害者総合支援法によって提供される総合支援は、
- 自立支援給付
- 地域生活支援事業
に大別されます。
市町村が主体となる自立支援給付には、介護の支援を受ける介護給付や、訓練などの支援を受ける訓練等給付、自立支援医療、相談支援事業などがあります。
移動支援や地域活動支援センターなどの事業を行う地域生活支援事業は市町村が主体となり、都道府県は専門的な情報の提供や専門家の派遣などを行い市町村を支援します。
自立支援給付
自立支援給付には、障害福祉サービス(介護給付、訓練等給付)、自立支援医療、相談支援事業、補装具費支給制度の4つがあります。
1.障害福祉サービス
障害福祉サービスとは、障害者の日常生活を支えるサービス・支援のことをいいます。
障害福祉サービスは介護給付と訓練等給付に分けられ、それぞれ以下のようなサービスを提供しています。
▼介護給付によるサービス
サービス名 | 対象者 | サービス内容 |
---|---|---|
居宅介護 | 障害者・障害児 | 自宅で、入浴、排せつ、食事の介護など生活全般の援助を行う |
重度訪問介護 | 障害者 | 常に介護を必要とする重度の肢体不自由者、または重度の知的障害・精神障害がある人の、生活全般にわたる援助や外出時の移動支援などを行う。病院などに入院又は入所している人に対して意思疎通などの支援を行う |
同行援護 | 障害者・障害児 | 視覚障害がある人の外出時に同行し、移動の援護などの必要な支援を行う |
行動援護 | 障害者・障害児 | 知的障害又は精神障害により自己判断力が制限されている人に付き添い、危険を回避するために必要な援護、排せつ及び食事等の介護などの援助を行う |
重度障害者等包括支援 | 障害者・障害児 | 常に介護が必要で、意思疎通を図ることが難しい人に、居宅介護、重度訪問介護などの支援を包括的に行う |
短期入所(ショートステイ) | 障害者・障害児 | 自宅で介護する人が病気になった場合や休息を目的としたレスパイト利用として、障害者支援施設、児童福祉施設などに短期間入所してもらい、入浴、排せつ及び食事の介護などの必要な支援を行う |
療養介護 | 障害者 | 医療と常時介護を必要とする人に、病院での機能訓練、療養上の管理や、日常生活上の世話などを行う |
生活介護 | 障害者 | 常時介護が必要な人に、主として昼間に、入浴、排せつ及び食事などの介護など日常生活上の支援を行い、創作的活動又は生産活動の機会を提供する |
施設入所支援(障害者支援施設での夜間ケア等) | 障害者 | 施設に入所する人に、主に夜間に、入浴、排せつ及び食事等の介護などの支援を行う |
▼訓練等給付によるサービス
サービス名 | 対象者 | サービス内容 |
---|---|---|
自立生活援助 | 障害者 | 一人で暮らす人を訪問し、自立した日常生活を営むために必要な援助を行う |
共同生活援助(障害者グループホーム) | 障害者 | 主に夜間に、共同生活を営む住居で、相談や入浴、排せつ、食事の介護など、必要な日常生活上の支援を行う |
自立訓練(機能訓練) | 障害者 | 日常生活を営む上で必要な身体機能や生活機能を維持・向上するために、理学療法、作業療法などの必要な身体的リハビリテーションを行う |
自立訓練(生活訓練) | 障害者 | 日常生活を営む上で必要な生活能力の維持・向上のために、入浴、排せつ、食事などの訓練を行う |
就労移行支援 | 障害者 | 就労を希望する人に、就労に必要な知識や能力向上のために必要な訓練を行う |
就労継続支援A型 | 障害者 | 一般の事業所での雇用が難しい人に、雇用関係を結んで就労の場を提供し、就労に必要な知識や能力向上のために必要な訓練を行う |
就労継続支援B型 | 障害者 | 一般の事業所での雇用が難しい人に、雇用関係を結ばずに就労の場を提供し、就労に必要な知識や能力向上のために必要な訓練を行う |
就労定着支援 | 障害者 | 一般の事業所に雇用された人の就労継続を図るため、雇用に伴い生じる諸問題に対して支援を行う |
障害福祉サービスについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
2.自立支援医療
自立支援医療とは、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担制度です。
自立支援医療には「更生医療」「育成医療」「精神通院医療」の3種類があり、それぞれの対象者は以下となります。
- 更生医療
- 身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けており、手術などの治療により確実に効果が期待できる人(18歳以上)
- 育成医療
- 身体障害のある児童で、手術などの治療により確実に効果が期待できる人(18歳未満)
- 精神通院医療
- 精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患があり、通院による精神医療を継続的に要する人
制度の対象となるのは外来での診察・投薬やデイケア、訪問看護です。
▼自立支援医療の対象となる治療の例
更生医療・育成医療 |
<内部障害>
|
精神通院医療 | 向精神薬の処方、精神科デイケアなど |
- 精神通院の入院費
- 公的医療保険の対象外(自費診療)となる医療費
- 障害と関係のない病気の医療費
は対象外となるので注意しましょう。
3.相談支援事業
相談支援事業とは、障害のある人が自立した日常生活・社会生活を送れるよう、さまざまな相談に対応するサービスです。
相談支援事業は、
- 基本相談支援
- 計画相談支援(サービス利用支援、継続サービス利用支援)
- 地域相談支援(地域移行支援、地域定着支援)
の3種類に分かれます。
▼相談支援事業の種類
相談支援事業の種類 | 概要 |
---|---|
基本相談支援 | 障害者、障害児、障害児の保護者などからのさまざまな相談に応じる |
計画相談支援 |
|
地域相談支援 |
|
市区町村の窓口のほか、相談支援事業所が相談支援の提供を行います。
- 一般相談支援事業所
- 都道府県などが指定する指定一般相談支援事業者が、基本相談支援や地域相談支援を行います。
- 指定特定相談支援事業者
- 市町村が指定する指定特定相談支援事業者が、基本相談支援や計画相談支援を行います。
4.補装具費支給制度
補装具とは、義肢、装具、車いすなど、身体の欠損または損なわれた身体機能を補完・代替する用具です。
補装具を必要とする人を対象に、補装具購入などの費用を支給します。
地域生活支援事業
地域生活支援事業は、都道府県または市町村の判断に基づき実施されるサービスです。
法律によって自治体が行う必須事業と、自治体の判断に応じて実施する任意事業に分かれています。
市町村の必須事業には、次のようなものがあります。
▼市町村地域生活支援事業(必須事業)の例
事業名 | 主な内容 |
---|---|
相談支援事業 | 障害のある人や介護者、保護者等からの相談に応じ、必要な情報の提供、権利擁護のために必要な援助を行う |
日常生活用具給付等事業 | 障害のある人に、自立生活支援用具などの日常生活用具の給付または貸与を行う |
移動支援事業 | 屋外での移動が困難な障害のある人に対し、外出のための支援を行う |
地域活動支援センター機能強化事業 | 障害のある人に、創作的活動または生産活動の機会を提供し、社会との交流の促進などを行う |
成年後見制度利用支援事業 | 成年後見制度の利用に必要となる経費のすべてまたは一部について補助を行う |
意思疎通支援事業 | 聴覚、言語機能、音声機能、視覚その他の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある人に、手話通訳者や要約筆記者等の派遣などを行う |
障害者総合支援法に基づくサービスの利用方法は?
障害者総合支援法に基づくサービスを利用する場合、原則として市町村に申請します。
主なサービスについて、利用方法を紹介します。
介護給付の障害福祉サービス
介護給付のサービスを利用する場合は、障害支援区分の認定を受ける必要があります。
このうち同行援護の利用申請の場合、障害支援区分の認定は不要ですが、同行援護アセスメント調査票の基準を満たす必要があります。
- 市町村窓口に申請
- 障害支援区分認定を受ける
- サービス等利用計画案の作成・提出
- 支給決定
- サービス等利用計画の作成
- サービス利用開始
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
訓練等給付の障害福祉サービス
訓練等給付のサービスを利用する場合は、障害支援区分の認定を受ける必要はありません。
ただし、共同生活援助の一部は障害支援区分の認定が必要になります。
- 市町村窓口に申請
- サービス等利用計画案の作成・提出
- 支給決定
- サービス等利用計画の作成
- サービス利用開始
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
自立支援医療
自立支援医療は、医療機関を受診後、市町村の担当窓口に申請します。
- 主治医に意見書を作成してもらう
- 市町村窓口に申請
- 申請に基づき審査(判定)が行われる
- 「自立支援医療受給者証」の交付
相談支援事業
相談支援を利用したい場合は、まず自治体の障害福祉課などに問い合わせてみるとよいでしょう。
- 市町村窓口または相談支援事業者に問い合わせ
- 相談方法(電話や訪問、来訪など)を確認し、必要に応じて面談日時を設定
- 相談
- 市町村窓口に申請
- 障害支援区分認定を受ける
- 相談支援事業者の選定
- サービス等利用計画案の作成・提出
- 支給決定
- サービス等利用計画の作成
- サービス利用開始
- 継続サービス利用支援(モニタリング)
- 市町村窓口に申請
- サービス等利用計画案の作成・提出
- 支給決定
- サービス等利用計画の作成
- 地域移行支援計画の作成
- 地域移行支援の実施
- 継続サービス利用支援(モニタリング)
- 市町村窓口に申請
- サービス等利用計画案の作成・提出
- 支給決定
- サービス等利用計画の作成
- 地域定着支援台帳の作成
- 地域定着支援の実施
- 継続サービス利用支援(モニタリング)
地域生活支援事業
地域生活支援事業を利用するには、市町村窓口に申請が必要です。
- 市町村窓口に申請
- 市町村窓口に利用申請
- 支給決定
- 利用したいサービス事業者と利用契約を結ぶ
- サービス利用
補装具費支給制度
補装具購入などの費用の助成を受けたい場合は、市町村に申請を行います。
補装具の種目により流れが異なる場合があるので、事前に相談するとよいでしょう。
- 市町村に申請
- 補装具の判定
- 支給決定・支給券交付
- 契約・補装具の製作
- 購入
障害者総合支援法に基づくサービスの利用者負担は?
障害者総合福祉法は、利用者の収入により利用者負担額が決まる応能負担となっています。
毎月の利用者負担には上限がある
世帯の収入状況により4区分に分けられ、それぞれに1ヶ月あたりの利用者負担の上限額が設定されています。
▼世帯の単位
種別 | 世帯の範囲 |
---|---|
18歳以上の障害者 ※施設に入所する18・19歳を除く |
障害のある方とその配偶者 |
障害児 ※施設に入所する18・19歳を含む |
保護者の属する住民基本台帳での世帯 |
▼負担上限月額
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(注1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く(注3) |
9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 3万7,200円 |
(注1)3人世帯で障害者礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となる
(注2)収入が概ね600万円以下の世帯が対象になる
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となる
1ヶ月に複数のサービスを利用したとしても、負担上限月額を超える利用者負担はありません。
療養介護は医療費・食費を加えた上限額が設定される
療養介護を利用する場合は、療養介護の利用料に医療費、食事療養費を合算した上限額が設定されます。
低所得の人は、少なくとも2万5,000円が手元に残るように利用者負担額が減免されます。
サービスによっては実費負担の軽減措置もある
20歳以上の施設入所者の食費・光熱水費の実費負担は5万3,500円を限度に施設ごとに設定されています。
低所得者の場合、食費・光熱水費の実費負担をしても少なくとも2万5,000円が手元に残るように、補足給付が行われます。
また、グループホーム利用者のうち、生活保護または低所得の人は、1人あたり月額1万円を上限に、家賃を対象とした補足給付が行われます。
世帯での合算額が基準額を超える場合は払い戻しがある
- 同じ世帯で、障害福祉サービスや障害児支援などを利用している人が複数いる場合
- 一人で複数のサービスを利用する場合
- サービスの負担額が基準額を超える場合
は、申請により基準額との差額が「高額障害福祉サービス等給付費」として支給されます。
合算の対象となる世帯は次のいずれかです。
▼世帯の範囲
種別 | 世帯の範囲 |
---|---|
18歳以上の障害者 ※施設に入所する18・19歳を除く |
障害のある方とその配偶者 |
障害児 ※施設に入所する18・19歳を含む |
保護者の属する住民基本台帳での世帯 |
合算の対象
同じ世帯の人が、以下のサービスのいずれか2つ以上を利用した場合の負担額が合算の対象となります。
- 障害者総合支援法によるサービスの利用者負担額
- 児童福祉法に基づく障害児支援サービスの利用者負担額
- 補装具費にかかる利用負担額
- 介護保険法に基づくサービスの利用者負担額
払い戻しされる額
世帯における1ヶ月の利用者負担額合算額のうち基準額(3万7,200円)を超えた額が払い戻しされます。
- 障害児が、障害者総合支援法に基づくサービスと、児童福祉法に基づくサービスのうち2つ以上を利用している場合
- 障害児のきょうだいがそれぞれサービスを受けている場合
は、受給者証に記載されている利用者負担上限月額のうち、高い方の額が基準額となります。
【2024年】障害者総合支援法の改正内容は?
2024(令和6)年4月1日より施行される予定の障害者総合支援法の改正案には、以下のような内容が含まれており、注目が集まっています。
- 障害者等の地域生活の支援体制の充実
- 障害者の多様な就労ニーズに対する支援および障害者雇用の質の向上の推進
- 精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制の整備
- 難病患者および小児慢性特定疾病児童等に対する適切な医療の充実および療養生活支援の強化
- 障害福祉サービス等、指定難病および小児慢性特定疾病についてのデータベースに関する規定の整備
1.障害者等の地域生活の支援体制の充実
グループホームの支援内容に、一人暮らしなどを希望する人への支援や、退所などの相談が含まれるようになります。
地域の相談支援の中核的役割を担う基幹相談支援センターなどの整備が、市町村の努力義務となります。
2024年4月1日に施行される予定です。
2.障害者の多様な就労ニーズに対する支援および障害者雇用の質の向上の推進
次の2つの施策が施行される予定です。
- 就労選択支援の創設
-
就労先や働き方について、より良い選択ができるよう就労アセスメントの手法を活用し、本人の希望、能力などに合った選択を支援する新たなサービスが創設されます。
公布後3年以内に施行される見込みです。
- 短時間労働者に対する実雇用率の算定
-
障害特性で週所定労働時間が特に短い(大臣告示で10時間以上20時間未満と規定予定)精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者について、事業主が雇用した場合、雇用率に算定できるようになります。
2024年4月1日に施行される予定です。
3.精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制の整備
入院治療が必要だが自ら同意できる状況になく、家族等もいない場合、市町村長の同意により精神障害者の医療保護入院を行うことが可能になります。
また都道府県の任意事業として、患者の孤独感などを防ぐための入院者訪問支援事業が創設されます。
2024年4月1日施行予定です。
4.難病患者および小児慢性特定疾病児童等に対する適切な医療の充実および療養生活支援の強化
次の2つの施策が施行される予定です。
- 医療費助成開始の時期を重症化したと診断された日に変更
-
難病患者および小児慢性特定疾病児童の症状が重症化した場合に、円滑に医療費支給を受けられる仕組みとして、助成開始の時期を「申請日」から「重症化したと診断された日」に前倒しします。
ただし、遡及期間は原則「申請から1ヶ月前まで」とし、入院等の事情がある場合は「申請から最大3ヶ月前まで」となります。
一部は令和5年10月1日に施行される予定です。
- 指定難病患者に「登録者証を発行」
-
福祉、就労などの各種支援の利用を促進するため、都道府県などで指定難病患者に登録者証を発行する事業を創設します。
障害福祉サービスの申請窓口である市町村やハローワークでは、マイナンバー連携により、難病患者であることが確認できます。
一部は令和5年10月1日に施行される予定です。
5.障害福祉サービス等、指定難病および小児慢性特定疾病についてのデータベースに関する規定の整備
障害者・障害児・指定難病・小児慢性特定疾病それぞれのデータベースの法的根拠を新設し、国による情報収集や、都道府県等の国への情報提供義務を規定します。
安全管理装置などの諸規定も新設し、他の公的なデータベースとの連結解析も可能にします。
データベースは、障害福祉サービスを利用している人の傾向などの分析などに活用されます。
一部は令和5年4月1日、または公布後3年以内に施行される予定です。
障害福祉サービスの開業にご興味のある方へ
障害福祉サービスは、社会貢献性だけでなく、収益性や安定性も高いのが特徴です。
障害のある人の数は、大人、子どもとも増え続けていますが、障害福祉サービスは障害者人口をカバーしきれておらず、さらなる普及が望まれています。
障害福祉事業の専門情報サイト「ミライクス」のサブブランドである「ミライクス開業」では、障害福祉サービスのうち、放課後等デイサービス、就労継続支援B型、障害者グループホーム(共同生活援助)の開業支援を行っています。
各種申請書類の作成、物件選び、集客のノウハウや有資格者の採用支援など、障害福祉事業の開業を多角的にサポートします。
ミライクス開業は、地域社会に貢献する障害福祉事業の「開業」を全力でサポートします。
- 「障害者福祉:障害者自立支援法のあらまし」(厚生労働省)
- 「障害福祉サービスの利用について」(全国社会福祉協議会)
- 「『障害者総合支援法』制定までの経緯と概要について」(独立行政法人福祉医療機構)
- 「地域生活支援事業の実施について」(厚生労働省)
- 「(令和4年度予算)地域生活支援事業(市町村事業)」(厚生労働省)
- 「自立支援医療支給までの流れ」(千葉県)
- 「自立支援医療制度」(調布市)
- 「地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)」(大阪市)
- 「障害者の利用者負担」(厚生労働省)
- 「高額障害福祉サービス等給付費、高額障害児(通所・入所)給付費について」(船橋市)
- 「障害者総合支援法等の改正について」(厚生労働省)
- 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要」(厚生労働省)