2021.2.16

2023.2.28

福祉業界で人材を定着させるためのポイント

アイキャッチ_シーソー左側に人形が複数人乗っていて、左側に人材という文字が乗っかっている、並行に保たれている写真

目次

福祉事業における離職率の高さと、従業員が抱える本音について、前回は解説していきました。

さまざまな調査の結果、従業員の不満の本音は「正当な評価がされていないこと」だということがわかりました。

※詳しくは前回の記事をご覧ください

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福祉業界で人材を定着させるためのポイント

今回は、そんな離職率の多い福祉業界において、人材を定着させるための方法について解説をしていきます。

人材定着のコツ6選

福祉経営ラボが考える、福祉業界の人材定着に必要なポイントは6つあります。

ポイントを1つずつ確認していきましょう。

その1 評価制度を導入して評価のバラツキをなくす

評価制度を導入することで、まず入社時の認識ギャップを減らすことができます。

評価制度を整備することができていれば、給料や待遇面といった部分に対して、きちんと面接時にすり合わせの時間が作れます。

このタイミングで認識を合わせておくことで、入社前後で「給与が思っていたより低い」といったような不満をもつ従業員をなくすことにつながります。求職者と施設側双方が納得感をもてる採用活動を行っていきましょう。

その2 明確な評価の基準を設定する

評価の基準を設定することによって、従業員一人ひとりが頑張る指標や目標を明確にすることができます。

入社後、各従業員が「何をどれだけ頑張れば評価されるのか」という部分を明確にすることは、組織を運営する側として必ず対応しなければならないことの一つです。

評価制度を取り入れることによって、評価の「軸」が生まれます。この「軸」をつくることで、どれくらいの業務をこなすことができれば、どの程度の評価を得ることができるのかということが、誰が見ても分かる環境を作ることができます。

そして、評価軸が明確になることによって、一人ひとりが主体性を持って業務に取り組めるようになります。

評価制度を整えることは、従業員の「成長のモノサシ」を確立することにもつながると、福祉経営ラボでは考えます。

その3 昇級の基準(等級)を設定する

評価制度を整えるだけではなく、その評価結果をもとに、従業員の等級がどう変わるのかも明確にする必要があります。

評価項目と等級が紐づいていないと、「なぜこんなに評価項目を達成しているのに等級に変動はないの?」といった疑問や不満が生まれます。

評価項目を設定する際は、その評価項目の達成がどのように等級と紐づくのかをきちんと設計し、従業員に共有しておきましょう。

その4 ステップアップ(役職)の基準を明確にする

役職を与える際の基準に関しても明確にしておきましょう。明確化されていないと、勤続年数や年齢など、従業員の頑張りではどうにもならない部分で判断をして評価しかねません。

優秀な従業員を公正に評価し、然るべき人材をステップアップさせていくためには、各役職に就くために必要な人材要件であったり、等級の基準を見える化しておくことが重要です。

等級と同じく、こちらも評価制度を設計する際に役職の基準作りを併せて対応しておくことをおすすめします。

その5 業務マニュアルを設定して徹底させる

施設経営を行う際、その施設によって、あるいは対応するスタッフによって提供するサービスや業務の質に差が出てはいけません。

福祉事業において、質の高いサービスを提供することは重要ですが、スタッフの経験年数やスキルの差によって、ムラが出てしまうことは施設運営者にとっては良くないことです。

そこで、施設としての質を保つために業務マニュアルを作成し、サービスの質を一定にすることが非常に重要です

無印良品も実践していたマニュアル作成
無印良品は数年前に大赤字を出していたにもかかわらず、V字回復を遂げたことは有名かと思います。その復活の一役を担ったのが「MUJIGRAM(ムジグラム)」というマニュアルだとも言われています。
このマニュアルには、服装規定から商品の陳列方法まで事細かに示されており、ページ数は1,000を超えるほど。今なおマニュアルはアップデートされ続けています。
それくらい、業務のマニュアルというのは重要であり、従業員が提供するサービスを一定化させるためには必要不可欠なものだと言えます。

その6 スタッフの教育マニュアルを設定して徹底させる

最後は、スタッフの教育についてです。

こちらも業務マニュアルと同じく、教育マニュアルを設定し、マニュアルの実行を徹底することが必要となります。

マニュアルはモチベーションアップにつながる

マニュアルと聞くと、堅苦しいイメージをもたれてしまうかもしれませんが、活用の仕方によっては従業員のモチベーションアップに大きく寄与するものになります。

業務マニュアルももちろんですが、教育マニュアルを明確に示しておくことで、新入社員のモチベーションをどんどん引き上げることができると考えます。

もしも教育マニュアルがなければ、

「前職の経験があるからあまり教えなくていいかな…」

「指導の仕方がいまいちわからない…」

「自分でどんどん学んでほしい…」

といった悩みを先輩従業員は抱えてしまい、結果として新入社員の育成が中途半端になったままになってしまいかねません。

施設として教育マニュアルを整備しておけば、誰が指導をしても新入社員は同じ方向性で成長してくれます。

新入社員からしても「何をどれだけ覚えればいいか」といった、自分のやるべきことが明確になるので、早く覚えようと主体的に業務に取り組んでくれるきっかけにもなります。

刺入社員のモチベーションが上がれば先輩社員も感化されますし、結果として全体のスキルアップにもつながります。

施設全体のレベルアップを図るためにも、マニュアルづくりを実践してみてください。

人材定着のための環境を整えましょう

今回は、人材が定着するためのポイントを6つに分けてご紹介していきました。

人材が離脱するのには、施設側の問題、経営者としての問題も隠されています。まずはその原因をなくしていくために、施設側として対応できる環境整備を行っていきましょう。

評価制度の設計や各種マニュアルづくりによって、これから入ってくる従業員だけでなく、今いる従業員にも不満をもたせない環境を生み出すことができます。

せっかく雇った従業員がこちら側の力不足で離脱してしまうのは非常にもったいないです。

ぜひこれらを実践して、人材が定着する施設をつくっていってください。

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